日中学生交流団体で広がった世界と成し遂げたい未来

2023-10-23 17:20:00

安藤 比奈


もし、高校生の自分に、現在日中学生交流団体で活動しているといったら、絶対に信じないであろう。

高校までの私は、海外に興味がなかった。学校の研修事業などで海外に行く友人を見て、なぜ海外に行く必要があるのだろうと思っていたほどだ。特にメディアの影響で、中国にはあまり良い印象がなかった。その一方、父が漢詩を研究している関係で毎年中国のいろいろな所に行っていた。その度に、中国はおもしろいとよく話してくれた。そのため、漠然とした興味を持っていた。

大学では、第二外国語で中国語を選んだ。父が、中国はこれから世界経済の中心になるので、きっと役に立つだろうとアドバイスしてのことだった。他に特別選びたい言語もないので、言われるがままに中国語を選んだ。第一回の授業が忘れられない。日本にはない四声、そこから紡ぎだされるハーモニー。日本語とまったく異なる響き。すぐさま心が揺さぶられた。

言語に興味を持ったことをきっかけに、もっと中国を知りたくなった。そこで、日中学生交流団体の門を叩き、運営として活動し始めた。それまで田舎にいた私は、中国人と関わったことがほとんどなかった。これは、初めて多くの中国人と直接、そして深く関わった体験になった。彼らは今では中国語学習の私の一番の動機だ。以前は、メディアの影響で、中国人は行儀が悪い、主張が強いなどと偏見を持っていた。しかし、関わった中国人は、いろんな人がいた。静かな人もいるし、活発な人もいる。優しい人も、聡明な人も、いろんな人がいる。当然だ。日本人だっていろんな性格の人がいる。例えば私だって、日本人だが思ったことは比較的言うほうであるし、日本人らしくないとよく言われる。中国人だっていろんな性格の人がいるのである。国籍でその人がどんな人であるか決めることはできない。そんな当たり前のことに気づかせてくれた。一緒にイベントを計画、運営したりしていく中で、団体でできた仲間とは親しくなり、私にとって今や精神的支柱のような存在だ。

先入観を持たずに人と接する。意外とできていない人も多い。周りにも、中国人に会ったことがないのに勝手に悪いイメージを持つ人もいる。むしろ、会ったことがないからこそそのような偏見を持ち続けるのである。しかし、実際に中国人と交流することで、偏見をなくすことができる。

団体で出会った仲間は、中国語学習の最大の動機になっている。大学も学んでいることも違う、生まれ育った背景も文化も違う、そんな彼らが本当に好きだ。彼らはいつも刺激をくれる。もっと中国語を話せるようになって、距離を縮めたい、といつも思いながら勉強している。相手の言語で話すことで、直接コミュニケーションをとれて、より距離を縮めることができるはずだ。それに、言語が上手いか下手かに関わらず、相手が自分の母語を話そうとしてくれたら、気持が伝わる。

これからも、団体の仲間と日中学生間の相互理解を深めるようなイベントを開催したい。直接交流することで、日本人と中国人が先入観を持たず、一人の個々の人間として見ることができると信じている。

 

 

人民中国  2023年10月25日


 

 

 

 

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