中国へのトビラ

2023-10-23 17:26:00

岡田 好加


この作文を読んでくださっているあなたは中国というトビラを開けるための鍵を持っているだろうか。私はまだ数えるほどしか持っていない。ここでいう「鍵」とはあるものについて知ったり興味を持ったりする「きっかけ」とする。人は鍵(きっかけ)があって何かの扉を開き、興味や考え、知識や視野を広げていくものだと考える。しかし一生のうちに一つも鍵を持たずに、名前も知ることのない国もあるだろう。だから私はこの数少ない鍵たちを誇りに思っている。そしてこれからもたくさん増やしていきたいと思っている。ここでは私の持っている鍵のいくつかを紹介していこう。

一つ目の鍵、それは高校の第二外国語の授業として中国語を選択したことである。この時は、日本と近く、人口も多く中国語は多くの人々に話されているため、話せるようになったら今後自分の役に立つのではないかと考え選択しただけであった。しかし中国語を勉強していくにつれ、楽しい・もっと中国について知りたいと思うようになった。私は今大学で中国語を専攻しているが、この時に中国語を勉強する選択をしていなかったら今どうなっているか想像がつかない。私はここからたくさんの鍵を見つけることとなった。

二つ目の鍵、それは音楽である。音楽を聴くことが好きで特にK-POPや洋楽をよく聞いていた。中国語を勉強しているうちに中国の歌をきいたことがないことに気が付いたのである。しかし勝手に、中国の歌は弦楽器が基調の伝統的な曲が多く自分がよく聴くようなジャンルの曲はないのではないかと思い込んでいた。これはほかの国の人々が日本人は毎日お寿司ばかり食べている、日本人はサムライといった固定概念と同じであろう。自分がこのような決めつけの気持ちを持っていたことにショックを受けたが、「知らない」とはこのようなことなのかもしれないとその時に気が付いた。偶然私が好きな歌手が中国語の歌をカバーしていて、初めて中国の音楽に触れることとなった。その曲を聞いた瞬間、今まであった私の固定概念がなくなった。好きな曲ばかりで他にはどんないい曲があるのか気になり調べたり、どんな意味なのか気になり歌詞を自分で訳してみたりと、中国の新たな側面を知ることができた。

三つ目の鍵、それは花である。花屋でアルバイトをしているときに、社長から中国は花の市場が盛んであることを聞いた。私はこれを聞いたとき想像がつかなかった。たしかに中国は華やかなイメージがあるが、生花のイメージがなかったからである。偶然テレビで斗南花卉市場が紹介されているのを見た。驚いて声も出ないほど大量の生花がそこにはあった。多くの国に輸出しているのだという。またここで中国の知らなかった側面を知ることができたのである。

このようにいくつかのきっかけを通して私は中国という国に興味を持った。周りを見ると、親が中国出身の方であったり中国に留学したことがあったり、幼少期に中国に住んでいたなど、自分より大きく立派そうな鍵を持っている人がたくさんいると感じてしまうこともある。しかしどんな鍵でもそれが鍵穴にぴったり入れば、それは素晴らしい鍵なのだと私は考える。夜ご飯の餃子がおいしかったから中華料理が気になるな、これがその人の中国や中華料理の道を広げるものになれば、それは立派な鍵である。私は高校で中国語を選択したことで、中国についての道を開いたのである。たくさん持っていなくても、一つだけでも、小さくても、自分に合った鍵と出会って自分の世界を広げていきたい。そして堂々とこれが自分の好きなものだといいたい。

 


 

人民中国  2023年10月25日


 

 

 

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