文化で「ぬくもり」伝える 栗原小巻さんら代表団と座談会

2024-01-10 15:17:00

蔡夢瑶=文 王浩=写真 

俳優の栗原小巻さん(日中文化交流協会副会長理事長)が率いる日中文化交流協会の訪中代表団が昨年1123日、中国外文局アジア太平洋広報センターを訪れ、本誌編集者らと率直で心温まる座談会を行った。 

文化交流の意義を再認識 

昨年は中日平和友好条約締結45周年に当たり、また本誌『人民中国』の創刊70周年だった。本誌の前総編集長で現在は特別顧問の王衆一氏は、「両国の国交正常化がまだ実現されていない頃から、『人民中国』は両国人民の相互理解と友好交流の促進を使命としてきた。現在の情勢下では、民間レベルから両国民の相互理解と信頼を増進することが極めて重要だ。今こそ文化交流の重要性を再認識すべきときだ」と述べた。 

栗原さんは、1956年の日中文化交流協会創立から始まり、初代理事長の文学者中島健蔵氏をはじめとするメンバーと、中国文学芸術界の多くの人々との友好交流の歴史を振り返った。その中で、中国の文学芸術界から多くの有意義な経験を吸収し、同時に日本の文化と芸術も次第に中国に広まっていったと話した。栗原さんは、文化交流こそが平和と友好への道だと固く信じ、先人たちと同様の理想と志を受け継ぎ、敬意を持って先人たちが切り開いたこの道を歩んでいくと語った。 

文化で温める「冷えた仲」 

日中文化交流協会の常任委員で、長年にわたりメディアで活躍してきた元朝日新聞記者の加藤千洋氏は、文化交流とメディア報道の経験をうまく活用するにはどうすればよいか、本誌編集部のメンバーと話し合った。また加藤氏は、本誌に掲載中の劉徳有氏(元文化部副部長)のエッセー「草創期の人民中国」を読んだことがあると話し、その中で描かれた日中文化人の心温まる交流の話に感銘を受けたという。加藤氏は、このような温かさを伝え続け、文化という「ぬくもり」によって政治などが原因で「冷え込んだ」日中関係を温めることを願った。 

代表団メンバーの一人、日中文化交流協会の常任委員の作家窪島誠一郎氏は、戦没画学生の作品などを展示する慰霊美術館「無言館」を個人で設立した。窪島氏は、日本人はあの戦争と時代を直視し、そこから経験と教訓を学び取らねばならないと考えている。そして、芸術交流を通じて日中両国が一歩ずつ近づき、手を携えて共に歩む明日を迎えることを期待すると述べた。 

日中文化交流協会の常任委員で茨城大学名誉教授の茂木雅博氏は、本誌との「固い絆」から語り出した。茂木氏は1980年代、陝西省の西安交通大学付属小学校の校舎建築現場から、前漢(紀元前202年~紀元8年)の壁画が発掘されたニュースを『人民中国』で読み、ぜひ見てみたいと憧れた。その後、中国西北大学の友人の協力を得て、その現場を見学する願いをかなえた。美しく精巧な壁画に茂木氏は深く感動した。またそれは、その後の茂木氏の日本の古墳壁画研究において大きな参考となった。茂木氏は今後、中国の悠久の歴史をもっと日本に紹介したいと考えている。茂木氏と王特別顧問らは、中日両国の史跡保護や東アジア文明の源流に関する考古学的研究など、関連するテーマについて熱心に意見を交わした。 

日中文化交流協会の常任委員で映画監督の周防正行氏は、監督したコメディ映画『Shall we ダンス?』(中国タイトル『談談情,跳跳舞』)が記録的な大ヒットとなり、90年代に日本で「社交ダンスブーム」を巻き起こした。『人民中国』は、この作品から表紙デザインに大きなインスピレーションを受けた。周防氏は、現在多くの日本の若者が中国に対して抱く印象は、歴史をテーマとした人気漫画や映画テレビ作品がもとになっており、現代の中国人の生活に対する理解が不足していると語った。周防氏は、中国人の日常生活や、人々の考えや思いを反映した映画テレビ作品が、日本でもっと多く見られるようになることを希望し、両国人民の相互理解の増進に貢献したいと述べた。 

中野暁氏は日中文化交流協会の重鎮で、長年にわたり日中文化交流の第一線で黙々と数多くの活動に携わってきた。中野氏は以前、中国外文局が創設し、中国と世界の国際交流に貢献をした外国人や機関を表彰する「蘭花賞」の審査にも参加した。今回、代表団と共に外文局のアジア太平洋広報センターを訪れ交流できたことに大変満足し、大きな収穫があったと感じた。今後も日中文化交流協会では会報の発信力を高め、発信方法の刷新を模索し、より多くの中国の友人にも協会の活動を理解してもらえるよう努力していきたいと語った。 

座談会の終盤に加藤氏が、「両国間に率直に相手に直言できる『諍友(そうゆう)』関係を築く必要がある」と提起した。また、中国の「一帯一路」イニシアチブについて、古代のシルクロードが東に向かい日本の奈良に通じたように、現代の「一帯一路」建設も日本をその中に組み入れ、技術や科学テクノロジーだけでなく、中国の文化や芸術などのソフトパワーを日本に伝えるよう期待を込めて提案した。 

王特別顧問は、加藤氏が述べた「友」に同意し、座談会をこう締めくくった――中日関係は浮き沈みがあったが、永遠の隣国として両国間で率直な意見交換が必要だ。その中で文化交流は一種の「温かな媒体」として、心のぬくもりを両国の人々に伝えるだろう。 

 

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