「華流」の美に魅せられて

2024-11-20 20:33:00

 田中 優香


私は今、高校で中国語を履修している。中国は広大な土地を持ち、人口も多く、五十を超える民族が存在する。そのため、英語に加えて中国語も学ぶことでコミュニケーションを取ることができる人がさらに増えると思ったからだ。自分にとって新しい言語を学び始めるのは久しぶりで、楽しく授業を受けている。さらに、予期せぬ収穫として中国での生活の話を伺うこともある。一衣帯水の中国に対しての親近感はどんどん大きくなっていった。

また、今年は四年に一度のオリンピックの年で、とても楽しみにしていた。私はバドミントン部に所属している。バドミントン女子ダブルスの準決勝では、中国の・刘圣ペアと日本の志田・松山ペアの白熱した試合に目を離せなかった。卓球や体操などの競技において中国は昔から安定した実力を保っている。スポーツが強いのも中国の魅力の一つだ。今回のオリンピックでも多数のメダル獲得数を誇っている。しかし、中国の一番の魅力を聞かれたら、私は迷わず「ドラマ」と答えるだろう。

中国のドラマは華流ドラマと呼ばれ、最近は韓国の韓流ドラマと並び人気が出ている。華流ドラマには、現代の中国人の生活を感じることができる現代ドラマと、武術を習得した武術家たちの世界を描いた武侠ドラマや実在しない世界を描いたファンタジー時代劇などを含めた時代劇がある。日本の時代劇は史実に忠実で堅いイメージがあり若者の視聴者は少ないが、中国の時代劇はタイムリープ物やフュージョン史劇も多く、歴史に興味がない人でも楽しめる。三年程前に華流ドラマを見始めた時は中国の歴史にあまり興味はなかったが、史実を知らなくても見応えのあるものばかりで、私はすぐに中国時代劇の虜になった。

私が一番好きな作品は、「云之羽」だ。主人公は暗殺組織である無鋒の一員、云衫。仕事がうまくいけば自由を手に入れられるという約束の元、敵組織である宮門に花嫁候補として潜入する。任務を遂行しなければ死ぬ状況で、感情を押し殺しながら自由を得ようと奮闘するという内容だ。好きなアイドルの虞欣が出演しているという理由だけで見始めたが、最初から最後まで次の展開が見通せず、手に汗握る緊迫した状況の連続だった。どの場面も建物や自然などの世界観が非現実的で美しく、すぐにドラマの世界に引き込まれた。この作品に限らず、時代劇のワイヤーアクションやCGを利用した舞台空間演出は日本のドラマではあまり見られず、新鮮な表現にとても魅了された。さらに、どの作品も衣装が豪華絢爛で美しく、とても魅力的だ。伝統衣装はその国の文化や風習、歴史的背景を表すと言われているが、中国の場合はまさにそれが現れている。絹でできた美しい服、艶のある耳飾り、多彩な髪飾りなどからは中国四千年の悠久の歴史や多様な文化を垣間見ることができる。

華流ドラマは、その美しい映像と面白い内容で世界中の人々を惹きつけ、中国の魅力を世界中に伝える窓口として、ますます注目を浴びている。娯楽という要素だけでなく、中国の歴史や哲学的な思想、文化などの教養的な部分も楽しみながら知ることができる。私たちが見慣れている日本のドラマも国内外に人気があるが、そんな日本のドラマと比べても、壮大なスケールと華やかな映像が際立って見えるのは華流ドラマの魅力かもしれない。さらに、華美な雰囲気の中にも、日本人の私でも共感できる上品さを持ち合わせている。そのような中国の美の正体はなんなのだろうか?そうしたことを考えながら、これからもより一層中国語学習に力を入れていきたい。また、ドラマを字幕や吹替なしで見たり、いつかは中国を訪れて実際に撮影に使われている建物や漢服を見たりしたい。私の中国への探究心はこれからも広がっていくだろう。

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