模範たる旺盛な競争心
丸山 大貴
異文化共生が進む現代社会において、多様な文化背景を持つ人々が同じ職場で働くことは、もはや特別なことではなくなりました。日本の製造業においても、外国人社員の採用が増加し、さまざまな国から来た社員が一緒に働いています。その中でも、私が特に感銘を受けたのは、中国人社員たちの「模範たる旺盛な競争心」です。
私が初めて中国人社員と一緒に働くようになったのは、3年前のことです。彼らは、日本での就労経験がほとんどないにもかかわらず、仕事の進め方や日本語の習得に対して非常に高い意欲を持っていました。その姿勢は、私を含む日本人社員にとっても刺激となり、学ぶべき点が多いと感じました。
まず、彼らの技術へのキャッチアップの速さには目を見張るものがあります。製造業では、日々進化する技術や新しい製品開発に迅速に対応することが求められますが、中国人社員たちは、どんなに複雑な技術でも、自ら進んで学び、短期間で習得する姿勢を見せます。例えば、新しい生産ラインが導入された際、彼らはマニュアルや資料を徹底的に読み込み、すぐに実践し従来知見・得た知見を活かし成果を上げています。そのスピード感と積極性は、私たち日本人社員が見習うべきものであり、彼らが持つ競争心の現れでもあります。
また、勤勉さという点でも、彼らの姿勢は際立っています。長時間労働や細かな作業が続くことが多い製造業において、彼らは決して怠けることなく、常に高い集中力を保ちながら仕事に取り組んでいます。特に、ミスが許されないような精密な作業においても、彼らは一切の妥協を許さず、完璧を目指して取り組む姿勢を見せます。その結果、彼らが担当するプロジェクトや生産ラインの品質は常に高水準を保っています。このような勤勉さと責任感は、私たち日本人社員にも多大な影響を与え、職場全体の士気を高めています。
さらに、言語の壁を超える努力も彼らの競争心を示す重要な要素です。日本語は中国語とは異なる言語体系を持ち、習得には多大な努力が必要ですが、彼らはその困難を乗り越え、日常会話や業務上のコミュニケーションにおいても、流暢に日本語を使いこなしています。特に、専門用語や業界特有の言い回しについても、彼らは積極的に学び、自らのスキルとして取り入れています。これにより、彼らは日本人社員とのコミュニケーションの円滑化に寄与し、チーム全体のパフォーマンス向上にもつながっています。
以前、設備トラブルが起きた際、ネイティブの私すら読むのがためらわれる分厚いマニュアルをいの一番に中国人技術者が読み始めたことがありました。自分自身の仕事に対する姿勢を深く反省し、一緒になってマニュアルを読み、問題の根本を解決したのは特に印象に残っています。彼らの姿勢を見ていると、単に外国人社員として日本の文化や慣習に順応しようとするのではなく、自らが持つ能力や知識を最大限に発揮し、職場での地位を確立しようとする強い意志を感じます。彼らの健全な競争心は、私たち日本人社員にとっても大いに刺激となり、互いに切磋琢磨することで、職場全体の成長を促進しています。
結局のところ、異文化共生は単なる共存ではなく、異なる文化や背景を持つ人々が互いに影響を与え合い、共に成長していくことが求められます。中国人社員たちの模範たる旺盛な競争心は、その象徴的な存在であり、私たち日本人社員にとっても、大きな学びと刺激を与えてくれるものです。このような異文化共生の中で、私たちも彼らから多くを学び、自己成長を遂げることで、より良い職場環境を築いていくことができると確信しています。