あの感情を、もう一度
2025-11-17 14:31:00
服部大芽
周りを見渡すと30人ほどの中国の友人たちが、楽しそうに笑っていた。そして私もつられて笑っていた。「あれ、この感情、どこかで感じたことがある」、2月の東京の風は冷たかったが、心の中は温かかった。
中国で開催される日本作文コンクールや日本知識大会の入賞者30人ほどで構成される笹川訪日団が今年、日本を訪れた。そして私もありがたいことに同行スタッフとして、企画運営に携わりながら、ともに1週間東京、沖縄、大阪を巡っていた。
私にとって、こんなに多くの中国人と何かをするのは久しぶりだった。私はコロナ直前まで武漢大学に留学していたものの、帰国しコロナが始まり、更には社会人になった今は中国の人と接する機会がなくなっていた。
久しぶりの中国人との交流ということもあり、実は少し緊張していた。ただ、その心配は不要だった。中国人メンバーとは5,10分話せばいつの間にか仲良くなった。これは留学中から感じていることだが、中国人はなぜか仲良くなりやすい。距離の詰め方なのか、言葉にするのは難しいが、すぐに打ち解けあうことが出来た。
メンバーの中に特に仲良くなった人がいる。彼の名は浩、雲南出身の大学生だ。日本語読みで私は「こう」と呼んだ。彼は日本の小説を読むことが好きで、夜の自由時間に一人で古本屋のブックオフに行くような人だった。そのおかげもあるのか、彼の日本語は達者で、名言のような言葉から若者言葉まで使えた。ただ、途中で私たちに悲劇が起こる。
それは、沖縄でカヤックに2人で乗っていた時だった。乗り方としては、前が私で、後ろがこう。楽しくてはしゃいでた私は途中で水の中に落ちた。それは自体は全く問題ない、決まりでライフジャケットも着用していたので、フワフワ浮きながら私は笑っていた。ただ、水面から顔を出した時、カヤックにこうの姿がなかった。彼は私の落下に巻き込まれ、一緒に落下したのだ。その瞬間、私の頭によぎったことがある。あれ、こうは携帯を持っていなかったっけ?
数十分後、私とこうはホテルに向かうバスに乗っていた。二人ともびしょびしょだったが、それよりも気がかりなのは携帯だ。恐る恐るこうの携帯の電源をつけると反応がなかった。私たちは青ざめた。なんせ、中国人にとって携帯は不可欠だから。支払い、地図、SNS、全てを携帯でできるのだ。結果を先に言うと、こうは中国に戻って携帯を買い替えることになった。ただ、驚くのはこうの態度だった。これは誰が見ても落ち込む状況。せっかくの訪日が悲しい思い出になってごめんねと謝り続ける私に、こうは言った。「訪日で失ったものは携帯ただ一つ、しかし得た良い思い出はたくさん」、笑顔で私を見つめる彼の心は、中国の国土のように寛大だった。
帰国前の最後の歓送会、他の中国のメンバーからも感想を聞く時間があった。様々な発言があったが、多かったのは私たち日本人との交流のことだった。こんなことを話したのが面白かったとか、また日本に会いに来たいと伝えてくれた。それはまるで、日本に来たというより、日本人に会いに来たと言ってくれているかのようで、心が温かくなった。
そして私は同じことをどこかで感じたことがあると思った、考えてみるとそれは留学していた時の感情だ。初めて中国人と心を通わせたとき、心から楽しかった。海を越えれば、こんなにも楽しい交流があるんだ、そう思った。ただ、今回の場所は日本だ。私は動いていけば日本でも日中交流はたくさんあるのだと気付いた。
きっと、今後はよりグローバルな社会になるだろう。良い社会になった。そうなればぜひ多くの人に中国人と交流する楽しさを知ってほしい。そこには国の違いを超えた普段の友達と相違のない、人と人との心温かい交流があるのだから。
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