北に長江、東南に鄱陽湖を控え、湖漢九水贛江など長江中・下流域を流れる九つの河川)が流れ込むため、長江中・下流域に位置するこの都市は水陸交通の便利さによって、古代、商人たちが必ず通過する場所だった。都市と鄱陽湖との間には標高1474㍍の名山――廬山があるが、そこは陶淵明や白居易などの詩人がかつて隠居生活を送っていた場所であり、「国共合作」という歴史的事件の発生地でもある。この都市こそ江西省の最北部に位置する九江市である。
今月号の「美しい中国」では読者の皆さんを連れて九江市を訪れる。東林寺で浄土宗が日本へ伝わった経緯に関する物語に耳を傾け、蒋介石・宋美齢夫妻がかつて住んでいた牯嶺鎮の別荘を訪ね、三畳泉や錦繡谷などで廬山の魅力を味わう。