人類運命共同体がなぜ世界で共感を呼んだのか?

2020-02-21 12:25:28

王義桅  中国人民大学習近平新時代の中国の特色ある社会主義思想研究院副院長

将来、歴史家が歴史を書き記すとすれば、恐らく2017年をグローバル化発展の分水嶺、人類運命共同体建設元年とするだろう。この年の年初、習近平国家主席は世界経済フォーラム(ダボス会議)の年次総会に参加した際、中国がグローバル化をリードするという主張を提起し、続いてジュネーブの国連本部を訪れ、パレ・デ・ナシオンで人類運命共同体とは何か、なぜ構築すべきなのかについて体系的な説明をし、年末にはさらに中国共産党と世界政党ハイレベル対話会で、どのように人類運命共同体を構築するかについて詳細に説明した。

2017年、国連社会開発委員会第55回会議において、「アフリカ開発のための新パートナーシップ(nepad)の社会的側面」決議が採択され、「人類運命共同体の構築」の理念が初めて国連の決議に書き込まれた。同年111日、第72回国連総会第一委員会(軍縮・国際安全保障問題)会議で、「宇宙空間における軍拡競争を防止するさらなる的確な措置」と「宇宙空間に最初に武器を配備しない」という二つの安全保障決議が通過し、「人類運命共同体の構築」理念は再びこの二つの国連決議に盛り込まれた。

アントニオグテーレス国連事務総長はこれに関して、「中国はすでに多国間主義の重要な支柱となっており、われわれが多国間主義を実践する目的とは、まさに人類運命共同体を構築することだ」と評した。第71回国連総会のピーター・トムソン議長は、「私にとって、これは地球における人類の唯一の未来だ」と述べた。

人類運命共同体はなぜ世界の共感を呼んだのか

継承と超越――人類運命共同体は360数年前の「ウェストファリア条約」で確立された平等と主権の原則、150数年前のジュネーブ条約で確立した国際人道主義精神、70数年前に国連憲章で明確にされた四大趣旨と七原則、60数年前にバンドン会議で提唱された平和五原則など国際関係の変化に応じて蓄積された一連の公認原則を継承している。これらの原則は人類運命共同体の構築の際に基本的に順守すべきものとなっている。それと同時に、超越も実現された。人類運命共同体のキーワードは人類、運命、共同体である。人類とは、国家というアイデンティティーを超越し、世界に対し責任を持つことを示し、運命とは協力ウインウインの進化形であり、運命を共にすることを示すもので、共同体とは地球村を超越し、一つの大家族であるという意識を樹立し、共通のアイデンティティーを確立することである。

共通性と包容――各国には相違があり、世界には多様性があるが、共通する歴史的記憶、共通する境遇、共通する目標によって各国は緊密につながり、共通するアイデンティティーと認識を形成し、共に未来を創りあげるだろう。西洋には「一人は万人のために、万人は一人のために」という名言があり、東洋にも「各々その美を美とし、人の美を美となす。美と美が共に交われば、天下大同」という思想や「全世界が一つの巣のなかで出会う」というタゴールの理念がある。人類思想の包括と集大成として、「人類運命共同体」は同を集め異を解消し、人類の新たな共通認識を形成する。まさに習近平主席が第70回国連総会で一般討論演説を行った際に指摘した通り、「大道の行われる世では天下は公とされる。平和、発展、公平、正義、民主、自由は全人類の共通する価値であり、国連の崇高な目標でもある」。人類運命共同体の道とは、すなわち人類の価値の最大公約数を求めることで、人類の共通価値をつくりあげることである。

実際行動と展望――「一帯一路(シルクロード経済ベルトと21世紀海上シルクロード)」は人類運命共同体の理念を実践する重要な足がかりとなる。人類運命共同体が人類の問題の解決に中国の知恵を貢献するならば、「一帯一路」は人類の問題の解決に中国のプランを貢献するだろう。運命共同体の思想は利益共同体と責任共同体の思想の昇華であり、最初の着目は「身を落ち着け心のよりどころとなる場、発展し繁栄する基礎」となる周辺国のことで、後に発展途上国に多用され、その最高の境地が人類運命共同体である。

現実の世界からネット空間まで伸び、従来の領域から世界の公域まで広く切り開かれ、深海極地宇宙インターネットなどの領域で各方面が協力する新領域をつくり上げる。人類運命共同体における「命」と「運」は結合させなければならない。「命」とはアイデンティティー認識の問題を解決し、安心感と満足感の問題を解決するもので、「運」とは、発展の問題を解決し、態勢と未来の問題を解決するものである。

人類運命共同体の理念は平和・発展と協力ウインウインという外交の旗のぼりを昇華させ、世界の大同を求めるもので、すでにグローバルガバナンスシステムの変革を促し、新型国際関係と国際新秩序構築に共通する価値規範となっている。平和と発展は各国の人々が期待するものであり、政治家が担うべき責任でもある。中国のプランとは、人類運命共同体を構築し、ウインウインと共有を実現することである。

総じていえば、運命共同体の思想は「国連憲章」の趣旨と原則を継承・発揚したもので、グローバルガバナンスの「共に協議し、共に構築し、共に分かち合う」という原則の核心的な理念であり、「一帯一路」建設の精神をつくりあげ、消極的な意味での「人類には一つの地球しかなく、各国が一つの世界に共存している」を超えて、積極的な意味で「運命を同一に、苦楽を共に」し、「あなたの中に私があり、私の中にあなたがある」という人類の新たなアイデンティティーをつくりあげ、天下を公とし、世界が調和する人類の新文明を切り開くものである。運命共同体は国家の偏狭さ、利益の相違を超越し、協力ウインウインを中心とする新型国際関係を構築し、人類文明の恒久的発展に着眼して、狭隘な民族国家の視点を超えた文明の新秩序の構築を促すものである。これは人類文明の高度から「運命共同体」思想を理解する際あるべき啓示である。

今日の世界に目を向ければ、人類運命共同体の理念は、各国が運命を自らの手に握り、自国の国情に合った発展の道を歩むという普遍的な要求にそったものであり、これがこの理念が世界の広い範囲で共感を呼んだ根本的な理由である。(筆者は中国人民大学習近平新時代の中国の特色ある社会主義思想研究院副院長)

人民中国インターネット版 2018126

関連文章