日本の安倍晋三首相の中国訪問中、中日両国は各分野の協力を全面的に展開した。特に第三国市場における協力について、52の協力文書に署名し、累計180億ドル規模となった。中日関係を競争から協調に向かわせた。しかし緊張緩和があまりにも早すぎ、一挙にこれほど多くの協力文書に署名したが消化と実施が可能であるか、今後「足場」を崩されないためにはどうすべきかと懸念する声もある。
国際協調・協力が順風満帆であったことはない。G7のような先進国の協力メカニズムであっても、効果的な協調意見が形成されず、標榜する「国際協調」という初志を遂げるのが困難であることが多いほどだ。今回の中日関係の改善は、大国関係の変化に適応しており、確かな政治的準備を踏まえてもいた。
今回の中日関係の改善は、安倍氏による「宿題提出」と分かりやすく形容できる。中国は2010年にGDPで日本を抜き、2014年には10兆ドルに達した。現在の世界でGDPが10兆ドルを超えている経済体は、米国、EU、中国のみだ。貿易・投資・人員往来のどれを見ても、中国は世界の人・富・モノ・情報が集まる中心地と言える。特にこの7年に渡り、世界各国の首脳が経営者代表団を率いて訪中し、新時代の経済・貿易関係を構築している。日本の首相は中国を7年訪問しておらず、多くの「単位」を落とし、直ちに宿題を提出する必要があった。
その一方で、中日双方は早くから政治的準備を整えていた。2014年のAPEC北京サミットの会期中、中日首脳は国際舞台で会談する条件を整え、かつ中日関係の改善を促進する「4つの原則的共通認識」を形成した。習近平国家主席はその後、2015年に日本の民間団体と会談した際に、双方は「古い問題を適切に管理し、新しい問題を防止し、障害を減らす」と明言し、新時代の中日関係の基調を定めた。李克強総理が今年5月に初めて訪日し、両国関係が正常な軌道に戻るよう促した。中国の首脳が率先して範を示し、新時代の中日関係の方向を示した。安倍氏は現在、日本の首相として訪中した。双方は経済・金融、人文交流、第三国市場における協力などで共通認識を形成した。これは双方の政治の成果であり、両国民に対する約束でもある。
時代は10年刻みで変化し、どの時代にも中心的な技術と産業がある。世界は現在、技術革新と新産業が形成する時代を迎えている。安倍氏の今回の訪中は、中日の製造業が「大」から「強」に変化する戦略的チャンスと時期が一致し、かつ第四次産業革命と歩調を合わせた。中日は地理的に最も近い世界クラスの製造大国であり、世界の製造強国にアップグレードし、産業チェーンのネット化・データ化・スマート化を推進し、共に世界基準を形成する切実な需要を持つ。そのため中日両国政府が署名した協力協定の消化・実施が、極めて重要になってくる。
具体的に見ると、まず両国政府が健全な新ルールを作り、既存の多国間秩序の不足を補う必要がある。次に「企業主体、市場運営、政府指導、互恵・相互信頼」の原則に基づき、第三国における協力の優先・重点範囲を確定する。最後に、中日双方がより多くの貿易促進プラットフォームを構築し、両国企業の協力の橋渡し役になり、実力とハイテクを持つ多くの企業が第三国市場で貿易・投資に取り組むよう促す必要がある。
中日関係が競争から協調に向かうことは評価すべきであり、両国の第三国市場における協力の強化は、今後の中日関係安定の基盤になる。この意義から論じると、中日両国が署名した52の協力文書を十分に実行することが極めて重要だ。(筆者・劉軍紅 中国現代国際関係研究院研究員)
「中国網日本語版(チャイナネット)」2018年10月30日
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