中国社会科学院日本研究所研究員 高洪 氏
李家祺=聞き手
新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受け、国際オリンピック委員会(IOC)と大会組織委員会、日本政府・東京都は、東京五輪の開催日程を1年延期し、2021年7月23日〜8月8日、またパラリンピックを同8月24日〜9月5日の日程で行うことに合意し、3月30日、発表した。これは、1896年に近代五輪が始まって以来、初めての開催延期となる。
これについて、中国社会科学院日本研究所の高洪研究員は、本誌の取材に対して次のように語った。東京五輪の開催延期は、やむを得ない状況下で最良の選択である。新型肺炎の感染が世界的に拡大する中、国際社会が協力し、五輪の成功開催によって人類社会が結束して新型コロナウイルスに打ち勝ったことを証明できれば、シンボルとして意義に富む素晴らしいことだ。
――感染の拡大後、予定通り2020年に東京五輪を開催しようと、日本社会は大きな努力をしてきました。しかし、最終的には開催延期を決定しました。日本政府はどのような点を考慮して決断したのでしょうか。
高洪 感染拡大が世界的にまん延する当時の情勢から見ると、当初の予定通りに行うことはほとんど不可能でした。日本も、少しでも有利なようにと調整を行いました。全人類が感染拡大という災難に直面する中で、この調整はやむを得ない状況での最良の選択でした。しかし、それまで日本政府と関連の各界は、当初の予定通り行う方向で努力し、最後まで頑張る精神を示しました。
――2020東京五輪の延期は、日本の社会にどのような影響を与えるでしょうか。
高 オリンピックのような国際的な大イベントを行うためには、主催者側は大変多くの準備をしなければなりません。さらに、国の経済運営ペースと五輪開催との歩調を合わせることもあります。このため、延期決定の後には当然混乱が生じます。経済的な損失も多く、日本のさまざまな経済指標を引き上げる五輪の作用も、当面期待外れになりそうです。この他、各国のスポーツ部門や、選手たちの競技者としてのキャリアも影響を受けるでしょう。
とはいえ、これは被害を最小限に食い止める選択であり、来年の開催時にはやはり大きなプラスの作用があるでしょう。
新型肺炎の感染拡大の影響で東京五輪の開催は延期されたが、人々の五輪に対する思いは変わらない(新華社)
――東京五輪の延期は、中国も含めて多くの国々にマイナスの影響をもたらしそうです。例えば、経済面では関連する投資の損失、スポーツ面では大会への準備スケジュールの混乱などです。こうした状況に、われわれはどのように対処すべきですか。
高 開催延期は、確かに今のところ「最良の答え」ですが、大きな損失をもたらします。東京五輪の成功を保証するには、世界各国の支持が必要です。中国政府は、東京五輪の成功のために日本をしっかり支援すると何度も示しています。中日両国がこれまでの経験を分かち合い、相互支援・協力という土台の下で引き続いて努力し、全世界で拡大する新型肺炎の収束後、無事に五輪が開催できるよう望みます。
――来年行われる東京五輪と2022年の北京冬季五輪で、オリンピックという一大イベントが連続して東アジアで開かれることになります。これは、中日両国が五輪での交流をきっかけに、新時代の中日関係の発展を進めるチャンスとなるでしょうか。もしそうなら、東アジア地域にどのような影響があるでしょうか。
高 東京五輪の開催延期で、そこから北京冬季五輪までの期間は短縮されます。確かにこれは、大きな国際的な競技会の開催スケジュールに特殊な状況を作り出します。しかし、感染拡大が収まった後、全速力で五輪を開催すれば、感染拡大で滞った国際的なスポーツイベントや文化事業は、新しく密度の濃い協力の機会を作り出すでしょう。中日双方はこのチャンスをうまく利用し、交流の強化・協力の進化・友好の増進・両国関係を推し進める足掛かりとすべきです。
東アジアは、今回の新型肺炎の拡大で大きな被害を受けた地域の一つです。東アジアの国々が共同でこの災難に対処し、助け合いの下に東京五輪と北京冬季五輪を無事に開催することには多くの意義があります。スポーツであろうと医療・衛生面であろうと、人はみな健康を求め、人類社会の健全な発展は根本的な命題です。こうした意味からも、衛生・健康・スポーツは相互に関連したものです。人類社会が災難に直面しても、共に積極的に協力し、最終的に災難に打ち勝って新たな局面を切り開く――これを証明する五輪の開催は、シンボルとして意義に富む素晴らしいことです。
またこれは、習主席が何度も提唱している人類運命共同体の考えを表しています。五輪における中日間の協力の強化と、その土台の上でさらに新時代の中日関係の発展を推し進めることは、国際社会に良い手本を確立するとともに、東アジア全域のグローバルな影響力を客観的に高めることになります。
都内では、東京五輪の新たな開幕までの日時を示すカウントダウン時計が再び時を刻み始めた(新華社)
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