共に「一帯一路」の成功を

2021-06-21 10:21:52

鳩山友紀夫

2019年、『人民中国』の取材を受ける鳩山由紀夫元首相(撮影:呉文欽) 

512日に陝西省で行われた「一帯一路」国際金融フォーラムに、鳩山由紀夫元首相はオンライン形式で出席した。その発言をここに掲載する。

今日の国際関係で関係者が最も関心を寄せているテーマが米中関係であることは言うまでもないでしょう。トランプ政権が退場した後、バイデン政権は対立という言葉の代わりに競争という言葉を多用しています。米中関係の緊張が続いていることに変わりはありません。

米国政府は米中対立を価値観の対立、すなわち民主主義対権威主義の構図によって説明したがっているように見えます。しかし、米中対立の根本にあるのは国際政治学で言うところの「トゥキディデスの罠」、すなわち既存の大国と台頭する大国の間で国力の接近に伴って猜疑心が生まれる、ということであります。

今日、中国のGDPは米国の約7割に達しており、2028年にも逆転するという予測もあります。仮に中国が民主主義国であると米国に認められたとしても、米中は対立していたでしょう。今思えば笑い話のように聞こえますが、1980年代には日本経済が米国経済を凌駕するとまことしやかに語られていました。当時も日本は民主主義国であり、米国の同盟国でしたが、米国は日本を競争相手と見なして半ば敵視しました。米中対立の本質にあるものも、価値観ではなく力の接近です。

トランプ政権と比較した時、バイデン政権は同盟国友好国と協働して中国に対抗することを重視しています。ただし、米国の同盟国や友好国は中国との間にも経済や地政学上の重要な絆を持っています。常に米国に同調し、中国と対立しても構わないと考える国はほとんどないでしょう。サプライチェーンも企業にとっては単なる部品や原材料の調達網ではなく、中国という巨大な購買市場と密接に関わっています。政府が簡単に見直すと言っても、そうそうついていけるものではありません。日本の現政権は米国寄りの姿勢が目立ちますが、その日本でさえ、米中の板挟み状況に苦しむでありましょう。

結局のところ、米中対立の行方を最も大きく左右するのは、米国と中国の技術競争力のいずれがより発達するかにかかっています。米国も中国もそのことは分かっており、双方が巨額の投資を行うものと理解しています。米ソ冷戦の時代はソ連経済が途中から失速してしまいました。しかし、今日の米中は米ソのようにはなりません。米中の技術投資競争は相当期間続くものと予想します。

米中対立の激化、長期化を私は歓迎しません。もっとはっきり言えば、迷惑でさえあります。米中対立は新型コロナに苦しむ世界経済の足をさらに引っ張り、地域の安全保障環境を悪化させるなど、良いことがありません。

米国は中国を必要以上に敵視する姿勢を改めるべきです。米中が協力すれば、あるいは、建設的な意味で競争すれば、世界の経済や戦略的安定にとってのプラスは計り知れません。同時に、中国の方も米国に付け入らせる隙を作るべきではありません。実は中国にはソフトパワーを向上させるための極めて優れた、偉大なアプローチがすでにあります。習近平主席が提唱された「一帯一路」のことです。

中国経済と相手国経済の双方にウインウインをもたらし、発展途上国の貧困を解消する方向でうまく運営していけば、中国脅威論などというものは雲散霧消するに違いありません。日本政府も日本企業も、「一帯一路」に協力し、中国と共に「一帯一路」を成功させるべきだと私は考えます。

以上、今日の国際的な状況について私の意見を簡単に紹介しました。

人民中国インターネット版 2021621

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