都市生まれのカフェが農村へ進出 多層的な体験を提供

2023-05-30 17:26:00

中国人の旅行消費が観光からレジャーへ、名所旧跡から農村へと徐々に移り変わるのにともない、都市で生まれたカフェが農村に進出するケースがますます増えている。

フードデリバリーサービス「美団」、ソーシャルコマースプラットフォーム「小紅書」、ショート動画共有アプリ「抖音(中国版TikTok)」のデータがこの動きを十分に裏付けている。美団のグルメ部門が発表した「中国ドリップコーヒー商品類発展報告2022」によると、三線都市ではコーヒー注文量が前年の3倍近くに増加し、四線・五線都市では前年比で250%以上増加した。小紅書の「農村コーヒー」関連の文章は3万篇を超え、抖音では「#農村コーヒー#」のハッシュタグがついた動画の再生回数が896万回を超えた。

浙江省湖州市安吉県では、「1人あたりのカフェ店数」がなんと上海を抜いた。安吉県紅廟村の「ディープブルー計画」におけるディープブルーカフェは鉱山跡にあり、真っ青な湖の水にごつごつした岩石がそびえ、ネットユーザーの間では「リトルアイスランド」と呼ばれている。

23年の春節(旧正月)期間中の25日に、同カフェは1日の売り上げが3000杯を超え、注文量が全国一になった。それに対し、北京市三里屯のカフェは500杯に過ぎなかった。

農村カフェの売り上げがこれほど伸びたのはなぜか。素晴らしい写真を撮れるというのがその理由だ。これほど単純な理由で、安吉周辺エリアの若者はもとより、さらに遠方の若者まで、68元(1元は約19.9円)の入店チケット(ドリンク1杯つき)を購入してでもこのカフェに行きたいとしている。

安吉にはディープブルーカフェと同じように「素晴らしい写真」が撮れるカフェがたくさんある。安吉のカフェ事情からはっきりとわかるのは、農村カフェが提供するのはさまざまな感覚を刺激する多層的な体験であり、これ自体が農村カフェを都市のカフェと差別化する独特の価値でもあるということだ。農村カフェにはムードを作り、風景を商品として提供し、社交を増進するといった特徴があり、「コーヒーを飲み慣れた都市の人々」を引き寄せる力がある。

安吉の農村カフェは、アメリカンコーヒーだけでなく中国の「安吉白茶」も飲むことができ、中国文化と溶け合ってイノベーションを起こし、カフェを利用して伝統文化の現代的な表現を実現した。「カフェ+」は農村との文化的なぶつかり合いの過程で、「コーヒー+家族旅行」、「コーヒー+民泊」、「コーヒー+撮影」といったミックスマッチの消費シーンに広がり、都市の「映え重視経済」、「家族経済」、「ペット経済」、「ライブ配信経済」といった新業態の農村進出のタイミングにぴたりと合致した。同時に、農村のコーヒーは物質的・精神的に農村と若者を結ぶ橋渡し役と紐帯の役割を徐々に担うようになり、農村が環境の改善、ハードウェアの向上、収入の増加を通じて絶えず振興を図ることを後押ししている。(編集KS)

「人民網日本語版」2023年5月29日

関連文章