山西省太原市の質の高い発展とグリーン化を支える科学技術のイノベーション
文=中国報道 姚荃茂
山西省太原市には省全体の68%に当たる69カ所の省級技術イノベーションセンター、省全体の50%に当たる1カ所の国家級技術イノベーションセンター、省全体の79%に当たる132カ所の省級重点実験室、省全体の88%に当たる7カ所の国家級重点実験室が存在する。近年、太原市では新たなタイプの企業が雨後の筍のごとく続々と成長しており、新興産業や未来産業の発展の勢いが持続的に増している。
産学研協力の成果の実用化支援
新たな質の生産力を育む上で産業は基盤であり、人材はカギである。太原市では大学や科学研究院が集中する優位性をよりどころとし、より多くの企業・大学・研究機関による協力の成果が実用化されており、これは同市が新たな質の生産力を育み、発展させる重要なチャンネルとなっている。晋創谷イノベーション駆動プラットフォームはそのために同市が打ち立てたプラットフォームの一つだ。
国投晋創谷(太原)発展運営有限公司の崔晶晶執行董事・総経理は取材に対し、晋創谷・太原が設立され運営が始まってから、企業の問い合わせや参加が絶えないと述べ、山西省と太原市はプラットフォームの発展を支え、新たな質の生産力の育成と発展を加速させるため、一連の関連する政策パッケージを打ち出したと語った。折しも取材前、崔氏は見学に訪れた企業家代表の応対をちょうど終えたところだった。
現在、同プラットフォームに参加している企業は主に現地の大学チームや科学研究院だ。例えば、中北大学の科学研究の成果を背景に設立された深眸遠見(山西)技術有限公司の于一総経理の説明によると、同氏はもともと中北大学コンピューター科学・技術学院の高級実験師で、同社の中心的な研究開発スタッフも中北大学出身であるという。同社は晋創谷・太原が育んだ最先端テクノロジー型のスタートアップ企業として、特殊な環境下でのスマート映像モニタリング処理という巨大なブルーオーシャンにとりわけ主眼を置いている。
太原市科学技術局の王強党組書記兼局長は、晋創谷・太原では現在、96の科学研究チームおよびテクノロジー型企業が参加合意書に署名済みで、同プラットフォームは一流のイノベーション環境を全力で打ち立てており、そのために大学による成果の実用化サービス、行政事務サービス、金融サービスなど全方位的なサービス体系を備え、全過程での「ワンストップ式」サービスを提供していると語った。
科学技術成果の実用化加速を後押し
太原重型機械集団有限公司(以下、太重集団)のスマートハイエンド油圧掘削機産業パークにある巨大な工場の建物内には作業員が一人としておらず、整然とした動きのけん引型無人搬送車(AGV)が頻繁に行き交い、一つ一つのロボットアームが資材準備、溶接、加工、塗装、仕上げを行っている。山西太重工程機械有限公司の楊兆瑞副総経理の説明によると、同工場は太重集団が重点的に設立した「ライトハウス工場」で、100余りの先端技術を結集してスマート感知とスマート制御を完全に実現しており、4分24秒ごとに1台の掘削機の組み立てが完成するという。
楊副総経理によると、4〜75立方㍍の鉱山用掘削機と0.8〜200㌧級全ラインナップ多動力工学掘削機を同時に生産できる世界で唯一の研究開発・製造拠点である太重集団は、全体の作業員数が同類型の工場と比べて大幅に少ないだけでなく、作業員の労働強度も大いに軽減できているという。そのほか、太重集団はピュアEV、水素エネルギー、メタノール燃料などさまざまな新エネルギー動力にも引き続き力を注いでおり、今年には初めて電動油圧掘削機を納品する。近年、太重集団は世界初の新エネルギー動力設備を絶えずリリースし、業界の空白を埋め、実際の行動によって科学技術の成果を現実の生産力へと急速に転化させている。
コークス炉ガスを水素に変えるグリーンエネルギーの取り組み
グリーン発展は質の高い発展の基礎であり、新たな質の生産力自体がグリーンな生産力だ。典型的な資源に恵まれた省である山西省では、グリーントランスフォーメーションが近年の発展における主な基調となっている。記者が先日訪れた清徐精細化工循環産業パークでは、かつてコークス企業を最も悩ませていたコークス炉ガスが水素製造に活用され、グリーンエネルギーへと様変わりしている。
石炭を高温乾留する過程で生じるコークス炉ガスとコールタールは1本1本の公共パイプを通じて産業パーク内の三つの企業に運ばれ、メタノールや合成アンモニア、グリコールなどの生産原料となる。山西清徐経済開発区総合弁公室の郭亜軒主任は、「産業パークではプロジェクト間、企業間、産業間を密接に結びつけ、物の効用を十分に発揮し、資源の浪費と二酸化炭素排出を根源から減らすことに成功しており、従来型のコークス産業から現代的な石炭化学工業へと良質な炭素資源、低価格な水素資源、さまざまなオイル資源や石炭をベースとするニューマテリアルを提供する業態転換を実現しています」と語った。
太原市党委員会工業・情報化活動委員会の王国棟書記は、「太原市は現代的な石炭化学工業の研究開発プラットフォームの強みをよりどころとし、産業チェーンを風力発電や太陽光発電のエネルギー貯蔵、先端炭素基材料、バイオマテリアルなどの分野に伸ばし、石炭がこの肥沃な大地で異彩を放つようにしています。同時に、太原市は全国中小企業デジタル化モデルチェンジのモデル都市として、関連する業務配置に基づいて企業のデジタル化改善を全力で推進しており、2025年までに五つのニッチ業種で400社以上のデジタル化改善任務を完成させます。また、デジタル化の模範を示し、見よう見まねで進めたり、模倣・普及させたりといった方法で産業のデジタル化とデジタル産業化の「太原モデル」を打ち立て、新たな分野、新たな競争分野を切り開くことに努めていきます」と述べた。
太原市小店区に位置する山西菲特智能科技集団有限公司は「人工知能(AI)+ビッグデータ」モデルによって世界初となる「灰スラグ除去スマート積み込みシステム」の研究開発に成功し、「多重モニタリング、無人関与、少人数監視」というスマート化運行基準に達した。同社の狄海林董事長によると、カーボンピークアウトとカーボンニュートラルの実現に向かうにつれ、火力発電所の立ち遅れた生産能力は絶えず淘汰され、業界全体のスマート化改造は切迫した課題になっていくという。その一方、同社のスマート火力発電所というソリューションは火力発電所の高効率化、スマート化、安全性向上、エコの着実な実現という全く新しい発展モデルをよりしっかりと後押しすることができ、エネルギー業界の進歩と社会の持続可能な発展の推進のために貢献すると狄董事長は語った。
また、狄董事長は同社が研究開発した最新の業務用ドローンを見せてくれた。このドローンは大型鉄骨工場の閉鎖清掃や吹付塗装に応用可能で、高低圧配電室など位置情報が届かない密閉されたシチュエーションでも幅広く用い、人の手による作業のリスクをなくすことができる。
韋韜山西省党委員会常務委員・太原市党委員会書記は、太原市は今後、「一高二先三特三新」(ハイエンド金属材料産業チェーン、先進炭素基材料産業チェーン、先進バイオマテリアルおよびバイオ製薬産業チェーン、鉱山・エンジニアリング特殊機械、交通・航空特殊設備、省エネ・環境保護特殊設備の三つの産業チェーン、次世代半導体産業チェーン、次世代情報技術・スマート端末産業チェーン、新エネルギー産業チェーン)の重点産業チェーン体系に焦点を当て、科学技術革新プラットフォームの構築を大いに推進し、システム・メカニズムの改革を深化させ、科学技術革新と産業革新の深い融合を着実に推し進め。現代化産業体系の構築を加速させ、新たな質の生産力の育成と質の高い発展の推進においてより大きな足取りで歩み出すよう努めると語った。
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