「哪吒旋風」に見る文化観光消費

2025-04-16 19:41:00

中国の国産アニメーション映画「哪吒之魔童閙海(ナーザの魔童大暴れ)」が興行的に大ヒットし、映画館の外にも「哪吒旋風」が巻き起こった。

一部の地域では、哪吒洞や哪吒廟といった景勝地が人気を博している。哪吒はランタンフェスティバル、劇場、歩行者天国にも「進出」し、ナイトタイムエコノミーを賑わせている。フィギュアの入ったブラインドボックス、コラボ画集などが品切れになり、キャラクターがあしらわれた水筒や衣類は販売が好調で、映画に登場する湖北省の洪湖のレンコンパウダーまで売り上げを伸ばしている。哪吒がもたらした文化観光消費ブームは、国産キャラクターの台頭を裏付けている。

中国初の国産AAAゲーム「黒神話:悟空(Black Myth: Wukong)」のコラボ展開からSF小説「三体」関連グッズの海外進出を果たすなど、ここ数年の間に文化関連キャラクターが次々に登場し、新たな消費ブランドを創出している。中共中央弁公庁・国務院弁公庁が今年3月16日に通達した「消費喚起特別行動計画」は、「オリジナルの知的財産権(キャラクター)ブランドを開発し、アニメ、ゲーム、エレクトロニック・スポーツ(eスポーツ)と関連グッズなどの消費を促進し、国産『トレンド商品』の中国内外における新たな市場の開拓支援」を打ち出した。ブランド主導の強化により、国産キャラクターは新たな消費の原動力になりつつある。

哪吒のフィギュアは決して安くないが、消費者が長い行列に並んでも買おうとするのはなぜか。それは、ブラインドボックスを開ける時のドキドキ・ワクワク感から、哪吒がテーマのコンサートを聴いている時の「没入感」まで、文化的なグッズは個性的な体験と感情的共鳴をもたらし、深いレベルでの人々のニーズを満たすことができるからだ。自分だけの特別な体験、人よりも優れた特別な体験を提供できれば、関連グッズは人気を集めることができる。

製品ラインナップの拡大充実や産業チェーンの延長において、キャラクターブランドは大きなポテンシャルを秘めている。トレンド玩具ブランド「ポップマート」はブラインドボックスやフィギュアの販売からスタートし、ジュエリーやNFTデジタルコレクションなどの分野を深く掘り起こし、さらにはテーマパークの「ポップマートシティパーク」の運営にも乗り出している。異なる製品が相互に作用し合い、総合的な消費をもたらし、ブランドへのロイヤルティを強化し、長期的に利益を上げる能力を形成した。これからは映画を見たり、フィギュアを買ったり、ゲームで遊んだり、テーマパークをぶらついたりなど、一つのテーマをめぐってさまざまな消費を積み重ねるスタイルがさらに流行するだろう。

キャラクターの発展から文化観光消費を見る時は、より深い考察が必要だ。

産業が強くならなければ消費は盛んにならない。山東省淄博市と甘粛省天水市がネットで人気の都市になったのは、ブランドグルメの後押しと切り離せないが、膨大な人の流れが集まったそもそもの原因は、両市の文化観光産業が総合的な発展水準を持続的に向上させたことにある。このことから、習近平総書記が今年の全国両会(全国人民代表大会・中国人民政治協商会議全国委員会)で「文化的製品と文化的サービスの供給を最適化する」と強調した意味をよりよく理解することができる。

「哪吒之魔童降世(ナーザの魔童降臨)」のフィギュアは種類が少なく、生産能力も不足していたが、続編の「ナーザの魔童大暴れ」になると関連グッズは早くからデザインが行われ、技術が更新され、製造ラインがフル稼働している。その背後には産業チェーン・サプライチェーンの充実、文化観光産業と製造業の融合がある。文化観光産業を発展させるには、優れた強いチェーンを作り上げ、「小さいが素晴らしい」製品、「大きくて強い」製品を競うように次々登場させなければならない。チェーンの補完を着実に行い、デザイン、インキュベーション、運用などのプロセスに着目して弱点を補強しなければならない。チェーン延長の準備を丹念に進め、「文化観光+各産業」の融合発展モデルを深化させなくてはならない。農業・商業・文化・観光・スポーツの深い融合を推進し、業界の枠を超えた協力の開拓・展開を行い、産業の新たな形態による消費の新たな注目点の育成に資する。

文化的なムードが十分になって、初めて人を引きつけ夢中にさせることができる。キャラクター構築の過程では、人気にあやかり、物語を編み出そうとするが、中身のない製品しか出てこないということになる。製品が同質化に向かい、低価格競争に陥るということもある。とどのつまりは、品質の低さ、文化的深みのなさが原因だ。中国には常によい物語があり、中華文化の深くて厚みのある土壌は文化観光の供給を最適化する時の貴重なリソースだ。優れた製品、優れた産業を育てるには、優れたリソースを適切に表現し、優れた創意工夫によって価値ある要素を活性化することがカギになる。

文化観光産業の育成は、鍋で複雑な味わいのスープを煮込むのに似ており、じっくり時間をかけなければならない。ディズニーは豊富なキャラクターによって巨大産業を支え、日本のアニメは都市建設や観光開発に深く融合し、どちらも一日で成し遂げられたことではない。長期的な視点を実践し、心を込めて優れた質を追求し、心を豊かにして優れた物語を紡ぎ出せば、中国映画は独自のキャラクターシリーズを立ち上げるチャンスをつかみ、トレンド商品やトレンドブランドが優れた製品、有名ブランドに成長し、文化観光産業は長期的な人気を博すことになるだろう。(編集KS)

「人民網日本語版」2025年4月15日

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