世界を弱肉強食の時代に戻してはならない

2025-04-22 17:11:00

「米国の関税政策はアフリカ諸国の経済に深刻な打撃を与える」「ASEANは米国による一方的な追加関税に反対する」「『恣意的に関税を徴収する』米国政府のやり方は国際経済の安定性を損なう。米国はラテンアメリカ・カリブ地域でかつての覇権を取り戻そうと企てている」。国際社会は次々と正義の声を上げ、関税を濫用する米国の覇権的行為を激しく非難している。米国の「関税恐喝」対象リストには、国連が後発開発途上国と認定するレソト、単一産業的で経済基盤の脆弱な太平洋の島国フィジーなど、グローバル・サウス諸国が多数名を連ねる。経済的覇権を維持するため、恣意的に関税の圧力を振りかざし、他国の発展の権利を損なっている米国には、国際的な道義や責任感は皆無であり、米国式覇権の利己性、冷酷性、偽善性を深刻に露呈している。(人民日報「鐘声」国際論評)

米国は力によって弱い国々をいじめ、経済的一国主義を大々的に進め、自国より発展段階の低い国々から収奪を企て、グローバル・サウス諸国の発展の権利を深刻に損ない、世界経済のインクルーシブな成長を深刻に損なっている。国連のグテーレス事務総長は、貿易戦争の影響は「極めて深刻」であり、特に世界の最貧困層に甚大な打撃を与えると警告した。世界貿易機関(WTO)の研究によれば、経済発展水準と経済力に大きな格差がある中、米国の追加関税は世界の貧富の格差をさらに拡大し、低開発国により大きな打撃を与え、国連の「持続可能な開発のための2030アジェンダ」の達成を深刻に妨げることになる。タンザニア紙は、グローバル・サウス諸国の雇用や産業チェーンが深刻な打撃を受け、特にアフリカ諸国がインフレ進行と成長圧力の増大に直面することを憂慮した。

米国が多くの発展途上国の発展状況を意図的に無視し、貿易赤字の原因を歪曲し、一方的関税を乱発することは、グローバル・サウス諸国を始めとする各国の発展の権利を剥奪するものに他ならない。世界最大のエコノミーである米国は、国際分業のもたらす莫大な利益を長年にわたり享受していながら、国際貿易ルールを勝手気ままに破り、グローバルな産業・サプライチェーンの緊密なつながりや協同発展を無視し、多角的貿易体制の趣旨と原則を無視し、グローバル・サウス諸国の経済と民生に深刻な打撃を与えている。アフリカ開発銀行のアデシナ総裁は先ごろ、「米国の関税攻勢はアフリカ経済に『衝撃波』をもたらすものであり、貿易縮小や債務返済コストの上昇を招く恐れがある」と指摘した。

米国の覇権行為を、国際社会は放任するわけにはいかない。最大の発展途上国であり、国際社会の責任ある一員である中国は、正当な対抗措置を断固として講じている。これは自国の主権・安全保障・発展上の利益を守るために必要な措置であるのみならず、それ以上に国際貿易ルールと国際的な公平・正義を守るためであり、グローバル・サウス諸国から幅広い支持を得ている。最近開催されたBRICS経済貿易連絡グループ第2回会合で、代表らは米国の関税濫用により生じた貿易の緊張に厳正な懸念を表明。一国主義と保護貿易主義に反対し、ルールに基づく多角的貿易体制を引き続き堅守し、世界貿易の現在の緊張に共同で対処するよう訴えた。

中国は断固として保護貿易主義に反対し、あまねく恩恵を及ぼすインクルーシブな経済のグローバル化を主張し、貿易を通じて世界の発展を促進し、南北格差を縮小すべく尽力している。中国は実際の行動によって、発展途上国の工業化を支援し、国交のある全ての後発開発途上国の全関税品目に対する関税を免除し、後発開発途上国に対する一方的開放の拡大によって、共同発展を促進している。中国は引き続き高水準の対外開放を推進し、ルール・規制・管理・基準といった制度型開放を着実に拡大し、世界各国と発展の機会を共有し、互恵・ウィンウィン、共同発展を実現していく。国連貿易開発会議(UNCTAD)が先ごろ発表した報告によると、南南貿易はすでに世界貿易の約3分の1を占めており、中国の持続的な発展は南南貿易の安定的成長を後押しし、グローバル・サウス諸国の経済的融合は多くの発展途上国にチャンスをもたらしている。

歴史を後退させてはならず、人類を弱肉強食のジャングルの世界へ戻しては断じてならない。経済のグローバル化が深く進行し、国際化生産が一般化している今日において、グローバル・サウス諸国は世界経済への重要な貢献者であり、国際経済・貿易ルール及び多角的貿易体制を守る重要な力でもある。歴史を逆転させるいかなる企ても、必ず失敗に終わる。(編集NA)

「人民網日本語版」2025年4月21日

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