永遠の老兵・砂原恵さんにささげる最敬礼

2021-06-28 10:04:56

もともと関東軍の兵隊に憧れていた砂原少年は、現実の帝国軍人の残忍さや敗戦後の流転によって、軍人に幻滅し、中国人地主の牛飼いになりました。解放軍による土地改革で運命が変わり、抑圧と搾取から解放され、公平、平等、正義に憧れる砂原少年は、革命軍人の夢に燃え、自ら時代の流れに身を投じて、一生変わらない価値観を貫いて、人民に奉仕する誓いを実践してきました。これはおとぎ話ではなく、実在の人物による本当の話です。本来、狭い民族主義の血が流れていた砂原さんは、それよりもっと上位の普遍的な価値に心を奪われ、低級な趣味から抜け出して純粋な一人前の国際主義者に成長したわけです。頭を絞ったあげく、『血と心』というタイトルを思いつきました。

2019年、中華人民共和国成立70周年に合わせて、漫画『血と心』の中国語版書籍が新星出版社によって出版されました。その翌年、20年の4月に、本来の首脳訪日に合わせて、東方書店による日本語版も東京で発行されました。また今年、中国共産党創立100周年を記念して、アニメ版『血と心』も制作中です。

アニメの完成を目にすることができずに砂原先生が急逝したのは、非常に残念なことです。でも、慰めになったのは、先生が晚年に『人民中国』の取材を受け、さらに、その話が漫画化•アニメ化されて、より多くの若い世代に読まれ、覚えられていくだろうということです。

なかなか眠れない夜に、しとしと降り続く雨の音を聞きながら、写真に写っている砂原先生の笑顔を眺めて、胸に熱いものが湧きました。ぼやけた目線が一枚の写真に止まりました。それはおととし、北京市人民友好協会で行われた漫画『血と心』の出版記念会の会場で撮ったものでした。砂原先生が、2015年の世界反ファシズム戦争勝利70周年記念大会の時に北京でもらった記念メダルと、2019年に日本中国大使館で孔佑大使からもらった中華人民共和国成立70周年記念メダルを胸の前に飾って、来場の方々の前に顔を出した瞬間です。その二つのメダルが砂原先生にとってどんな意味を持っているかがよく分かります。もしかしたら、それは彼にとって人生の全ての意味かもしれません。彼は自分の青春を理想に燃えていた新中国にささげ、50年代に帰国した後、一衣帯水の海を隔てた血の祖国に戻って、心の祖国に思いを寄せて、その初心を自分の職場や暮らしで貫き、二つの祖国の友好に尽力してきました。北京に来て一緒に会食をするたびに、砂原先生は必ず定番の「酸菜餃子(東北風のピクルスの具の餃子)」を注文しました。それは、土地改革の時に解放軍の招待で初めて覚えたおいしい食べ物の味です。多分、懐かしい餃子の味を喚起することによって、自分の悔いのない人生の選択を再確認していたのでしょう。

砂原先生を記念する一番良い方法は、その伝奇的な人生を不滅の作品にして語り継いでいくことです。その意味で、アニメ『血と心』を一日も早く世に問うことは、砂原先生への最良の記念になるでしょう。老兵は死なず、ただ消え去るのみ。砂原先生の英霊は必ず天国で、血の祖国と心の祖国を眺めながら、両国の若い世代のこれからを見守っていくでしょう。20世紀の物語を21世紀の私たちがどうやって語り継いでいくか、それは時代の岐路に立つ私たちに砂原先生が残してくれた宿題です。若い世代は若い世代なりの知恵でその宿題を完成するでしょう。どうか砂原先生、安らかに眠ってください。ご冥福をお祈りします。(文=人民中国雑誌社総編集長 王衆一 )

人民中国インターネット版

 

 

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