現実と虚構の結合で高揚 東京五輪閉会式

2021-08-20 15:30:58

王衆一=文

新型コロナウイルス感染症がなおもまん延する中、17日間の2020年東京五輪が88日夜、無事に閉幕した。これは人類のスポーツ精神の勝利であり、大いに肯定する価値がある。新型コロナにより、曲折を経て史上初の無観客五輪となり、開会式と閉会式のプランは大きく調整され、評価は人によって分かれたといえる。閉会式のコンセプトは「Worlds we share(多様な世界の共有)」で、多元的な世界が閉会式の基調を決定していた。業務を委託された電通に対する非難は大きかった。しかし、適切に商業広告の手法でコンセプトを説明し、細かな積み重ねから驚きを生み、感情を揺さぶるという点では、やはり手慣れた手法を見せており、称賛に値する部分は少なくなかった。

 

簡素ながら巧妙に文化を配置

開会式と比べて閉会式で印象深かったのは、相変わらず簡素化の前提の下、日本の流行文化や定番の文化、伝統文化のさまざまな要素を十分に用い、東西を折衷し、古今を通じ合わせ、音楽や歌、舞踊、ファッション、デザイン、光の演出などの要素を巧妙に配置し、より美しさを感じさせる視覚と聴覚のクライマックスを次々と提示したことだ。

閉会式が始まると、開会式から一貫する簡素化の原則がすぐに感じられた。巨大な舞台装置はなく、ワイヤーでつられたパフォーマーが空中から降りてくることもなかった。宝塚歌劇団の団員20人が華やかで精緻な着物とはかまを身に着けて国歌を斉唱した後、各国の旗手がボランティアの先導で次々と入場し、芝生中央の円形のスペースに沿って彩り豊かな輪をつくった。ボランティアもその内側で円形に並んだ。彼らのゆったりした衣装のデザインには非常に深い意味があった。開会式の大工の衣装に描かれていた青と白の模様が漫画のような模様に変わり、誇張されたデザインが彩りを添えていた。また、衣装の正面左右に描かれた半袖シャツ姿の人物の図案は、互いの手をしっかり握っていた。ボランティアらが輪をつくったとき、この手をつないだ図案も一つにつながり、人の鎖の象徴になった。旗手とボランティアでつくられた二重の輪は、東京五輪のエンブレムが地上に現れたようで、閉会式のテーマ「Worlds we share」にも期せずして一致していた。

このとき、各国選手が全力で戦った今大会の名場面の映像が画面に現れた。映像はコマーシャルの手法で編集され、選手らの成功の喜び、挫折の戸惑い、団結、友愛などの多彩なシーンを凝縮し、最後に五輪の最新モットー「より速く、より高く、より強く、共に」を打ち出した。1964年の東京五輪が日本でカラーテレビを普及させ、日本映画の黄金時代を終わらせたとすれば、今回の無観客五輪は映像要素と現場を同等に重要なものとし、現実と虚構を結合させたオンライン五輪中継を切り開いたといえる。

これと同時に小さな旗を振って入場してきた各国の選手が芝生に集まり、自由に交流し、会場の演出との相互作用をもたらした。円形のスペースできらびやかな光の演出がさらに花を添えた。このパートの最高潮は、照明が暗くなり、選手らが自分のスマートフォンを光らせていたときだ。私たちは画面の中で、「地上の星々」が光を放ちながら集まって舞い上がり、会場上空を旋回して白くまばゆい五つの輪を形成したのを見た。これは視覚的に最も美しい瞬間で、開会式に登場した木製の五輪マークと呼応していた。閉会式で選手らが地上に描いたエンブレムの寓意が舞い上がって五つの輪になり、多様な世界をいっそう団結させる総仕上げとなった。このシーンはデジタル合成で効果を増強されており、現場は暗く、大スクリーンでこの瞬間を見られただけだったということを後々知った。しかし、今回の観客が全てオンライン上だったことを考えると、こうした一種の拡張現実による「現実と虚構の結合」はかえって意味深長な革新になった。

12下一页
関連文章