現実と虚構の結合で高揚 東京五輪閉会式

2021-08-20 15:30:58

等身大のイメージ示す

円形のスペースを舞台とした閉会式の演出は、音楽や歌、舞踊、ファッション、デザイン、色彩などの要素を一体化し、陳凱歌監督の映画『空海−KU-KAI−美しき王妃の謎』の「大唐盛宴」に似た幻想的な夜会をつくり出した。このうち音楽、歌、舞踊の選択は非常に念入りで、日本文化の代表を十分に用い、東西を折衷し、古今を通じ合わせ、日本文化の伝播力と影響力を高める目的をおのずと達成していた。

 

これらは東京の公園の若く活力にあふれた市民のレジャー活動やストリートパフォーマンスを模したものだ。単純に見えるが、開会式における江戸の町人の庶民的ムードを継承しており、日本が従来のものづくりから文化の創造へとモデルチェンジしていることを示すと同時に、新型コロナのために市民の日常に触れられない各国の選手らに等身大の東京のイメージを届け、彼らのやるせない気持ちを癒やした。

 

東京スカパラダイスオーケストラの情熱的な演奏は東京のストリートパフォーマンスの雰囲気を引き立たせた。米国に源流を持ち、ジャマイカで発展したスカは非常に国際化しており、スカパラは世界で最も有名なスカバンドだ。同時に、市民のレジャー活動の場面でBGMを担当したDJ松永さんはヒップホップユニット「Creepy Nuts(クリーピーナッツ)」のメンバーで、世界一のDJといわれている。いずれも東京と世界の対話を代表するのに恥じない存在だといえる。

東京都立片倉高校吹奏楽部の共演による『紅蓮華』も演奏された。近年最も人気を集めた日本のアニメ『鬼滅の刃』の主題歌で、世界的に知られた最も「燃える」このアニソンは、無数の若者の心を揺さぶった。日本のアニメを宣伝すると同時に、人を食べる鬼と命懸けで戦う作品本編のストーリーと共鳴し、新型コロナと闘う必勝の信念を強調した点にこの曲の巧みな効果があった。

 

音楽演奏が炸裂した後には歌が登場した。英語とフランス語を操り、豊富な留学経験を持つ神秘的なシンガーソングライターmilet(ミレイ)さんは生粋の東京人でありながら、世界レベルの歌唱力を持つ。彼女が洒脱(しゃだつ)でカラフルな衣装をまとい、日本語とフランス語でエディットピアフのシャンソン楽曲『愛の讃歌』を歌ったとき、閉会式はクライマックスに達した。男女の愛情を表現したこのスタンダードナンバーは、五輪のモットー「共に」に対する個別の解釈をこの場で説明しただけでなく、日本の流行文化の国際性も示した。同時に、近代オリンピックが提唱され、次回の五輪が開催されるフランスにあいさつをしており、並々ならぬ心配りがされている。

歌に続いたのは舞踊だ。マラソン表彰式の後、北海道のアイヌ古式舞踊、沖縄県の琉球エイサー、秋田県の西馬音内(にしもない)盆踊り、岐阜県の郡上おどりなど、各地の伝統風俗が映像を通じて紹介された。こうした郷土舞踊は地域文化の多様性と人々の共同体意識を体現していた。主会場では、色や柄にこだわった浴衣を着た市民がテンポの良い『東京音頭』に合わせて盆踊りを披露し、中国人選手を含む各国の選手は思わずリズムに誘われて共に踊った。さらに色とりどりの光がさまざまなデザインに変幻し、砂曼荼羅(まんだら)のように幻想的になり、たちまち青海波に変わった。

東京からパリにオリンピック旗を引き継ぐ「フラッグハンドオーバーセレモニー」では、不思議な衣装を着た優雅なソプラニスタ岡本知高さんが登場し、『オリンピック賛歌』を歌った。華麗で素晴らしい美声が程よくセレモニーを盛り上げ、ステージ後方の無人の観客席がフランス国旗の3色で照らされ、次回開催地パリの8分間の映像にスムーズに移った。パリ上空で空軍機がカラースモークを噴射してフランス国旗を描き、東京会場と呼応した。

国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長は閉会宣言のスピーチで、今大会は前例のない五輪で、スポーツが人類を一つにしたと述べた。閉会式の演出はこの評価のイメージを押し広げたものだ。最後に、著名な俳優の大竹しのぶさんと子ども7人がステージに上がり、『星めぐりの歌』を歌った。これは童話作家の宮沢賢治が作詞作曲した歌だ。子どもたちは星座を見分け、さそり座やオリオン座、おおぐま座、アンドロメダ座の不思議な天体現象を子ども心いっぱいに想像し、広大な世界に現れる多彩な美しさを共有した(Worlds we share)。そして赤いハスのような聖火がゆっくりと消え、聖火台を覆う花びらに相当する金属カバーが閉じ、全てが静寂に帰した。

 

東京五輪が終わり、北京冬季五輪は準備を加速させる段階に入った。北京冬季五輪は同様に不確定要素に直面している。東京五輪は私たちにどのような啓発と教訓をもたらすのか? さまざまな変数への対応策をどのようにしっかり整えるのか? どのように世界とより良く対話し、私たちの総合的なソフトパワーを示すのか? これこそが東京五輪の閉会式が私たちに考えさせることだ。

 

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