苦難に結ぶ真の友情 中日民間の助け合い11年を回顧

2022-03-11 10:16:50

国民感情の土台を固める 

自然災害と新型コロナウイルスのまん延下での見守りと助け合いは、客観的に国民感情の改善を促進した。「災害時にはさまざまな感動的な物語が生まれてくるものです。それにつれて人々の対中好感度も大幅にアップしました」。交流の一線で働く孫総領事は、日本の国民感情の変化を肌で感じている。 

この2年ほどは、新型コロナウイルスの感染拡大など複数の要因による影響で、一部の世論調査では、中日間で相手国への好感度の低下が示されている。この現象について孫総領事は、データは民間の友好的な状況を完全に正しく反映しているわけではない、と考えている。例えば中国国内が突然、大規模な災害に見舞われるたびに、新潟総領事館の担当地域では各界の友好的な人々が同館を通して被災地に義援金を送り、被災者へ見舞いの気持ちを表す。最近では昨年、河南省が受けた豪雨による大水害への見舞金がある。 

孫総領事はこう語る。「お分かりのように、一部の右翼・保守勢力による悪意ある宣伝と意図的な挑発に、日本の民衆の対中感情は影響されがちです。しかし、中日関係を良い方向に進めようという国民感情の土台は常に存在しており、私たちはそれを絶えず固め、拡大していく必要があります」 

国民感情の土台をしっかり固め、若者に「互いに見守り助け合う」という友好の初志を受け継がせるために、新潟総領事館では17年と18年、福島・宮城両県の高校生を同じような大地震の被災地である四川省汶川県などに招き、当地の同世代の青少年たちと交流を深めた。 

「ともに自然災害を体験した青少年は、相手の苦楽をより理解できます。日本の高校生は帰国後、たくさんの感動的なコメントを発し、地元紙でも大きく取り上げられました」と孫総領事は紹介する。 

福島県の高校3年生・宗方ひなたさんは、「汶川の高校生らと一緒に鶴を折ったり、一つの輪になって踊ったりしたのは、一生の思い出になった」と書き残した。宮城県の高三の斎藤光さんは古里が被災した光景を思い浮かべ、「汶川で見た傾いた校舎と割れたままのガラス。とても寂しく、悲しく私の胸に刺さりました」と話した。またある生徒は、汶川地震記念館の見学で自然災害の前では人類はちっぽけな存在で、互いに助け合うことの大切さを知った――と心が動かされたコメントを残していた。 

一人一人が真の友好を推進 

新潟総領事館の担当地域内には、「中日友好の象徴」であるトキが生息している。また、田中角栄元首相や『大漢和辞典』を編さんした漢学者の諸橋轍次氏、歌謡曲『北国の春』を作曲した音楽家の遠藤実氏など、中日の友好交流に貢献した多くの著名人がいる。中国の文豪・魯迅や数学者の蘇歩青もかつて東北で生活し学んだ。また今も1000人余りの中国人留学生が、二人の母校である現在の東北大学で学んでいる。 

担当地域の特徴を踏まえて孫総領事は、「私たちの交流活動は、互いに見守り助け合う中で形作られた中日友好の火種を代々伝えていくだけでなく、この地域と中国の間の深いつながりを掘り起こし、さまざまな交流活動を通して、この地域の人々と中国の人々の相互認識と理解・尊重を促進していきたい」と述べる。 

新潟総領事館は昨年、魯迅生誕140周年に合わせて魯迅文化基金会、中国国際教育テレビ局と共催でオンライン交流会を開き、魯迅と恩師・藤野厳九郎との師弟の友情について回顧した。魯迅の孫・周令飛氏は、家族と共に何度も藤野の勤務地だった仙台市と古里の福井県あわら市を訪れたことがあり、とても良い印象を持っていると語った。 

周家の4代と日本の友人との数十年にわたる交流の物語は、孫総領事に深い印象を残し、「政治家は両国関係においてけん引の役割を発揮するが、本当に関係を推し進めるのは一般の一人一人だ」と感じ入った様子だった。 

さらに孫総領事は、「今年は中日国交正常化50周年を迎えますが、中日関係の発展は国交が正常化した9月29日その日から始まるのではなく、一人一人の交流から始まるのです。まさに領事館の担当地域と中国との間の深い友好の伝統が示すように、両国関係が今日まで発展してきたのは、決して一朝一夕によるものではありません」と強調した。 

中日関係の次の50年に向かい、孫総領事はこう提言した。 

「今年、両国が自然災害や新型コロナの感染症にともに立ち向かった経験を振り返ることで、私たちは多くの前向きな経験を得られます。また、自然災害や公衆衛生などのグローバルな問題に対して、人類は団結・協力しなければ危機に打ち勝つことができない――ということを、両国民はこうして突然襲って来る災禍に思い知らされました。将来の中日両国の共通する利益と関心事は減ることはなく、むしろ増えるでしょう。次の50年、両国は見守り助け合う精神を発揮し、世界と地域の事柄における意思疎通と協調、協力を強化し、共にグローバルな課題に対応しなければなりません」

人民中国インターネット版

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