中国式現代化のカギを握る「共同富裕」の現状と将来

2024-09-10 09:38:00

浙江省「共同富裕モデル地域」の進捗状況について 

2021年、浙江省が質の高い発展による共同富裕モデル地域に指定された。 

①浙江省はもともと「地域格差」「農村と都市格差」「収入格差」が少ない 

② 26の貧しい県(山奥・島含む)を重点的に「一県一業(一つの県に一つの産業)を発展させる 

③ 農村部の発展を強化する。“千村示範、万村整治”(千万工程)と呼ぶ。農家が日本で民宿経営や農作物栽培、養殖技術を学び、起業につなげる。収入格差是正にあたり、収入をアップし中間層の拡大が重要である。企業と村が共同して就業機会を提供する。民宿や珈琲店、手工芸店開業などである 

省党校の政策担当者は「現代の農村は貧しいイメージではなく、都市部の人たちの憧れとなるオアシスに変化している。観光業を活用して農村部の発展を促進する」とコメントした。 

また、政府の援助で、標準化、スマート化、生態化を促進する。僻地はオンラインによる授業や医療を導入、eコマース活用の販売促進も行う。 

④民営企業は共同富裕の意識が高まり、医療・教育など慈善事業に力を入れるようになった。村と村で共同事業を展開する 

芸術による村おこしで共同富裕を実現したモデル村 

共同富裕モデル村は、杭州市郊外の外桐塢村で、800年の歴史がある。山村から「国家文明村」へ変貌したと称せられ、農村活性化のモデル村となっている。 

2007年以降、外桐塢村は数㌔離れた中国美術学院に協力を呼び掛けて、教員や芸術家の移住を促進した。芸術家は村で絵画や工芸品を制作し、観光客やネット注文で販売して生活している。 

村民は住宅や工房として借家を提供し、収入増と生活向上を遂げた。PRにより観光客も徐々に増えている。 

村民戸数163戸、人口663(移住者含めて約1000人)。村民の平均年入は07年の8600元から23年には73000元に大幅アップした。老人は村の食堂で無料の食事が可能、貧富の格差もなくなり、共同富裕をほぼ実現したと言える。 

外桐塢村は07年以降、政府から12000万元の支援を受け、これを元手にインフラ整備など村おこしを実現することが可能になった。 

中国式現代化「共同富裕」の課題 

課題として2点挙げる。 

第一に、「浙江モデル」を全国化できるか。浙江省は経済基盤があるが、内陸部の農村地帯は面積が広大で、経済基盤が乏しい。こうした地域別の経済基盤の違いをどう克服、調整するか。 

第二に、「米中摩擦」が長期化する状況下で、中国が直面している経済停滞を克服するのが、共同富裕実現への前提条件となる。国内不動産業などの不振、地方政府の過剰負債、消費経済の低下、就業率の落ち込みに対し、政府の経済政策の効果が期待される。 

最後に、中国式現代化の「共同富裕」達成は、世界各国のモデルになる可能性がある。21世紀にいて貧富・収入格差は先進国、発展途上国を問わず、世界各国共通の深刻な問題になっている。中国が今世紀中葉までに「共同富裕」の全国化を実現すれば、人類の歴史にける金字塔となる。中国の「共同富裕」への挑戦は世界への貢献につながるのである。 

 

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