発展する西部陸海新通道と「中老班列」——東アジアのグローバル・サプライチェーンを変える「一帯一路」

2025-02-27 17:01:00

ASEANへの陸のゲートウエー 

重慶での調査終了後は高速鉄道に乗り昆明に向かい、コスコシッピングロジスティクス昆明事務所に伺って話を聞いた。昆明鉄道コンテナセンター駅は、中欧班列、中越班列、中老班列、また中国—ミャンマー間の「中緬班列」の拠点駅だが、欽州港が西部陸海新通道における海のゲートウエーとしてASEAN各国につながっていたのに対し、昆明は陸のゲートウエーとして、ベトナムラオスタイミャンマーマレーシアシンガポールなどにつながる都市となっていた。 

中越班列は17年8月、中老班列は2112月にスタートしている。中越班列には河口(フーコウ)を国境駅とするルートと、凭祥(ピンシャン)を国境駅とするルートの二つがあり、中老班列は磨を国境駅とするルートを使っている。中欧班列の貨物はそう多くないらしく、今は中越中老班列の貨物がメインで、重慶と接続されている。中老班列は特に旅客輸送が盛んで、瀾滄(ランツァン)号や瀾(ランメイ)号が特に有名だ。 

昆明鉄道コンテナセンター駅の事務所の入口には、コスコシッピングやシノトランスなどの海運物流会社、シンガポールPSA、広州港集団などの港湾管理者の名前が戦略的パートナーとして入ったパネルが掲げられており、山奥の鉄道センター駅と海運や港湾が連携戦略を展開していることがよく分かった。駅のコンテナゲート入り口には、「昆明国際陸港 中鉄聯集昆明センター駅」と書かれており、「一帯一路」構想の下で中欧班列、中越班列、中老班列と海運港湾を連携させ、陸と海のシルクロードを結ぶ国際複合輸送を発展させる戦略が進行中であることが見て取れた。しかし昆明は鄭州西安成都のような国際陸港とは違って金融や保険やショッピングモールなどの施設が同一場所に固まっておらず、重慶のようにあちこち散らばっているため、まだまだ伸びしろがある地域だと感じられた。 

その後、昆明南駅からラオス国境の磨駅までの片道約613の道のりを約4時間半かけて結ぶ復興号に乗った。磨駅に降り立つと、出発を待っているとおぼしき瀾滄号が停車しているのが見え、エスニック調の駅舎の巨大さに驚かされた。 

駅でタクシーを拾って、鉄道コンテナセンター駅に向かった。訪問先は中老鉄道総合展示区だ。中に入ると入口に、「『一帯一路』は中国ラオス鉄道を建設し、友好を示す画期的なプロジェクトである。中国ラオス鉄道は、両国民に利益をもたらす黄金路線である」と書かれていて、この鉄道に対する中国の大きな期待がうかがえた。 

客車には復興号、瀾滄号、瀾快線があり、最高時速は160。昆明—ビエンチャン間の約1035を、10時間30分で走る。鉄道開通前は約3日かかっていた貨物輸送が、開通後は約30時間に短縮されたということだった。  

鉄道コンテナセンター駅は、自動化システムが導入されていると聞いている。ほとんど人がいない内陸部にある国境貨物駅で自動化が行われているというのは、やはりすごいことだ。日本でも、また昆明においてさえも、磨の役割は通過だけなので大きくはないと過小評価していたが、実際に調査してみるとその想像は違っていて、多くの貨物が取り扱われていた。昆明までの帰路も4時間半かかったので、1日の移動距離が1226、9時間にも及ぶ大移動調査となった。 

今回の調査で驚いたのは、広州→欽州(南寧)→重慶→昆明→磨の移動において、全て高速鉄道で出来たことである。高速鉄道がなかったころは、飛行機による移動だった。この10年で中国の高速鉄道は大変発達したと言える。昆明から磨を往復するのに、約1200を高速鉄道だけで済ませることができたのは本当に驚いた。瀾滄号を目にしたとき大変感動した。この辺ぴな地域に時速160で走る列車が走っていることは驚きである。今回の調査が、スピーディーにできたのは、中国の交通体系の発展にもよると思う。 

そして、今回の調査の対象地域を中心に、今や「一帯一路」は、アジア域内物流や東アジアから欧州向け物流において東アジアのグローバルサプライチェーンを急速に変化させつつあり、中欧班列や「中亜班列」(中国~中央アジア)など、ユーラシアのランドブリッジ輸送も海上輸送も併せた、広大で自由な物流エリアを建設しつつあるということが、今回の調査で実感できた。日本の多くの物流関係者のみならず、一般の日本人にもぜひ、この地域を訪問していただきたいと思う。この地域は全て、素晴らしい観光地でもある。 

人民中国インターネット版

上一页12
関連文章