日本人識者による報告感想

2024-04-17 14:51:00

CPTPPと「一帯一路」は相互補完できる 

法政大学社会学部教授 白鳥浩(談) 

今年の政府活動報告では、GDPの伸び率を5%程度とする目標を打ち出しました。また特別国債の発行や消費の後押し策など内需を拡大させていく政策も数々提出されました。これらの政策がうまく施行されれば、5%の成長は達成できない目標ではないと思いますし、ぜひ目標を実現してもらいたいと思います。 

経済発展のためには、どのようにして外国からの資本を呼び込むかということも非常に重要です。これについて、今年の政府活動報告も高いレベルの対外開放を改めて強調していました。特に製造業参入規制の全面的な撤廃は、さらなる中国の経済発展に寄与していくと思います。そして電気通信、医療などサービス業への参入規制の緩和から、中国政府は単に外資を呼び込むだけではなくて、外資を重点分野に誘導したいという考えも読み取れると思います。もともと中国の広大なマーケットは日本企業にとって魅力的です。これから実行される予定の規制撤廃と緩和は日系企業がより積極的に中国に進出していく一つの呼び水になるのではないかと思います。 

日本から見ると、中国は最も経済的な関係が強い国です。昨年7月、青島で開催された日中韓三国国際協力フォーラムに参加した際、王毅政治局委員はフォーラムで「中日韓は戦略的自主性を育てる」とあいさつで述べました。アジアという地域を全体として思考するという論旨は大変勉強になりました。日本と中国の間でいろいろな誤解がありますが、両国は共にアジア地域を考えながら発展していくことが必要だと思います。 

今年の政府活動報告では、「環太平洋パートナーシップに関する包括的および先進的な協定」(CPTPP)への加入交渉を行うと言及されました。米国の同盟国として、日本の立場は非常に難しいところがあるのは現実です。具体的な協力法として、日本が加盟しているCPTPPと、中国が提唱している「一帯一路」イニシアチブをどこかで経済的に結び付けて、アジアの発展につなげていくアイデアが両国から出てくることに期待を寄せています。 

CPTPPと「一帯一路」は互いに対立しているという議論をたびたび耳にしますが、本当は相互補完的な組織になっていると思います。世界地図で見ると、CPTPPの方は東の方に、つまり太平洋の方に伸びていきます。「一帯一路」の方は西の方に、つまり欧州の方へ陸路と海路でつなげていきます。そのベクトルが全然逆なのです。 

もしCPTPPと「一帯一路」がうまく連結していくことができれば、日本にとっても中国にとっても経済的に非常に大きなメリットになってくると思います。もっと言えば、CPTPPと「一帯一路」がちょうど合うところが日本と中国の沿岸部なので、将来の経済圏の一つになる潜在力が十分にあると私は期待しています。 

(顧思騏 王朝陽=聞き手)  

 

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