旧年を振り返り 新年の期待語る
より質の高い翻訳を目指して---日本語翻訳者・菊池秀治さん
王朝陽=文
2022年9月30日、菊池秀治さんは中国政府友誼賞を受賞した。受賞後の何かとにぎやかな期間が過ぎ去った昨年、菊池さんは依然として自分が情熱を注いでいる翻訳の仕事に没頭した。「この1年、翻訳に携わった中国の指導者の著作が出版されました。中国政府の白書の翻訳にも携わりました。その他、2月ぐらいから、『徐霞客旅行記』の日本語訳チェックの仕事が始まりました。これは大きなプロジェクトで、僕が外文出版社にいる間に終わらないかもしれないです。翻訳の仕事の特徴で、新たな仕事が次から次へと来て、なかなか成し遂げたという感じは持てず、いつも現在進行形です」と菊池さんは昨年の仕事を振り返った。
菊池さんは00年に中国に来て、上海と江蘇省にある中日合弁会社で仕事をした。15年、定年を迎えた彼は、北京に来て、外文出版社に入り、翻訳の仕事に携わるようになった。ただ仕事の内容は、彼の予想と違っていた。まさか入社してすぐに中国の指導者の著作の翻訳と訳文のチェックという大役を担うことになるとは考えていなかったそうだ。「もし初めからこんな難しい内容の仕事だと知っていたら、来なかったかもしれない。僕自身、若いときに外文出版社が出版した中国語のテキストを使ったことがあり、ここは語学関係の本を出版する会社かなと入社する前には思っていました」と菊池さんは苦笑しながら語った。
入社して8年がたった。以前あまり興味がなかった政治、経済、科学などの分野の翻訳が菊池さんの主な仕事内容となった。しかしこのような苦手分野の翻訳を通じて、菊池さんの中国に対する理解は深まり、中国を見る視野も広くなった。
そして何よりも重要なのは、日々中国人の同僚と仕事を通じて互いに勉強し合う中で、本当に中国に溶け込んだと感じることができたことだ。「同じ部屋でずっと一緒に仕事をしている若い同僚とは何でも親しく話し合い、今では彼女の家庭の事情までよく知っています。合弁会社では中国人スタッフとそんなに親しく付き合ったことはありませんでした。22年にいただいた中国政府友誼賞は外文出版社の同僚たちとの友情が認められた証しです」
翻訳は心の懸け橋として、仕事においても生活においても、菊池さんの中国との付き合いを深めた。「もし15年に前の会社を定年退職になって、日本にそのまま帰っていたら、今やってる中国の指導者の著作の翻訳に携わることなどは考えられないことですし、中国に対する理解、中国人との付き合いが今のように深くならなかったと思います」と菊池さんは感慨深げに述べた。
今年の計画について、菊池さんは中国の現代作家王小波の小説をうまく翻訳したいという個人の小さな目標を立てた。「彼は僕と同年齢だし、僕がもし中国人で北京で生まれていたら、彼と同じように、上山下郷などを経験しただろうと彼の小説を読みながら時々想像します。彼の小説を適切な日本語に翻訳するのはなかなか難しいことですが、今年には自分なりに満足できる王小波の作品の翻訳を一つ完成したいと思っています」
ショート動画で中国情報をシェア---ベトナム人・マック・ティイェンさん
高蓮丹=文
昨年はベトナム人のマック・ティイェン(中国語の名前は陌安然)さんにとって、間違いなく中国に来て最もうれしい一年だった。この年、彼女は自らの才能と努力によって、複数のショート動画コンテストで賞を獲得した。その中には、第5回全国大学院生中国語教育マイクロレクチャーコンテストの文化部門の特賞、2023年国際中国語デー・HSK中国語ショート動画コンテストの学習奨励賞、在中国留学生「対外文化貿易」人材選抜コンテストの文化広報貢献賞などが含まれる。これほど多くの賞を受賞できたのは、彼女がショート動画への興味と中国文化への深い理解を持っているからだ。
長年中国で暮らし、働いているマックさんは、15年に中国へ留学に来たが、当時は中国についてあまり知らず、ショート動画に触れることもなかった。しかし、あるとき偶然、彼女は中国を代表するショート動画プラットフォームの一つである「快手(Kuaishou)」に出会い、インターンシップの機会を得た。それをきっかけにショート動画業界入りし、やがてネットワーカーとなった。
「快手」で働き始めてから5年間、マックさんは中国のショート動画産業の急速な発展やライブコマースの台頭、中国のショート動画プラットフォームの海外進出を目の当たりにし、ショート動画が人々の日常生活に与える影響を深く感じた。「以前はある場所について写真や記事などで情報を得ていましたが、今はショート動画によって、その土地の風土や人情をより直接的に知ることができます」と語る。マックさんはまた、中国に住んでいる多くのベトナム人が、中国留学の申し込み方法や中国での結婚生活など、中国でのエピソードをシェアしていることにも触れた。「これらのコンテンツはベトナムで非常に人気があり、人々はショート動画を通じて、こうしたリアルな体験や経験を見たいと思っています」
マックさんによれば、今年の受賞は全く予想していなかったもので、この仕事のおかげだと感じているという。仕事のために、彼女は中国国内外のさまざまなショート動画の研究を始め、日常的に映像をチェックするだけでなく編集技術も学び、ショート動画を見る目を養ってきた。
中国で働くことについて、彼女は「変化」という言葉で総括した。「インターネット業界で働く特徴は、変化に絶えず適応することです」とマックさんが語るように、彼女の仕事はほぼ毎年変化している。マックさんはそのような変化を通じ、この業界にはチャンスがあると感じている。「インターネット業界には大きな包摂性と発展の余地があり、やる気と努力さえあれば成功できます。現在、中国で働くベトナム人の多くはインターネット分野に携わっていて、他にも大勢のベトナム人が中国で働くことを強く願っています」
今年と将来について、マックさんは笑顔を浮かべながら次のように語った。「私はこだわりが強いので、これからもずっと『快手』に携わりたいと思っています。『快手』があるところに、私もいます」
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