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開放の風を感じる青島の魅力

2023-06-12 11:25:00 【关闭】 【打印】

植野友和=文

国際都市・青島を訪ねて 

山東省青島市は中国でも有数の港湾都市で、古くから産業が栄えてきたことで知られ、「一帯一路」共同建設イチシアチブが打ち出されて以降、海のシルクロードの重要拠点として各国との結び付きがますます強まっている国際的な大都市だ。 

青島と聞いて、多くの日本人の方がまず思い浮かべるのは青島ビールだろう。だが、当然のことながら青島の特色はビールだけとは限らない。今回は歴史と文化、自然、そして産業発展が織りなすこの都市の魅力を皆さまにお伝えすべく、筆者が現地を訪れて感じたこと、発見したことをつづってみたい。 

さて、青島について語る前に、まず山東省という土地について紹介すべきだろう。産物が豊かで風光明媚なこの省は、1億人もの人口を擁している。だが、省全体としては一極集中型ではなく、省都の済南市や今回取り上げる青島をはじめとして、煙台、坊、威海、済寧、沢といったように、それぞれ独自のカラーや特産品、見どころを持つ都市が各地に分布しているのが特徴だ。 

中国の社会学者である費孝通の言葉に「各美其美美人之美美美与共天下大同」(それぞれが素晴らしい理想を追求しつつ、他者の素晴らしさを尊重する。素晴らしさが共有されれば、世の中は一つになる)という言葉がある。山東省、そして中国とはまさにこの一句を体現する地であり、各地が自らの優位性を発揮しながら、互いの良さを尊重し合い、相乗効果によって大いなる調和、独特の魅力を生み出しているのである。 

では、青島市の優位性、もしくは魅力は何かと言うと、一言で表すのは非常に難しいが、筆者が第一に思い浮かんだ言葉は「開放」である。 

青島市を訪れ、まず目に入るのは総面積500平方㌔近くに及ぶ美しい膠州湾である。現地出身の方が「青島市民の母なる湾」と紹介していたが、まさにその言葉通り、この天然の良港は人々の心を優しく抱くかのような大いなる母性、そして美しさに満ちている。静かな海面を眺めて、潮風に吹かれていると、それだけで開放的な気持ちになれる。 

また、青島の人々も、実にオープンな心の持ち主ばかりである。取材の合間に町を散策したり、現地に暮らす方と会ったりしたのだが、青島のことを尋ねるとトークが無限にはずんでゆく。それは自慢話といった性格のものではなく、「青島の魅力を知ってほしい!」という強い思いであるように感じられた。山東省の観光PRでよく耳にする「好客山東」との言葉があるが、まさしくこの地の人々は客人をもてなす心を自然体で備えているようだ。


銀魚巷をそぞろ歩く観光客(写真提供・青島市党委員会宣伝部)

海路で世界とつながる地 

一方経済面でも、青島は中国で初めて開放された14の沿海都市の一つであり、一貫して対外開放をリードしてきた。青島港は世界第4位の港湾で、2022年の貨物取り扱い量、コンテナ取り扱い量はいずれもプラス転換を実現した。また、青島港は2022年の十大海運コンテナ港ビジネス評価で1位となり、最高ランクを獲得した。海のシルクロードとは目に見えない道だが、青島は海路によって確かに「一帯一路」参加国・地域、さらには全世界と密接に結び付いている。優れた港湾設備と産業基盤を持ち、シルクロード経済ベルトおよび海のシルクロードの重要拠点として位置付けられている青島が各国との経済交流で強みを発揮し、開放的な都市として成長してきたのは必然と言えるだろう。 

青島の産業発展を代表する企業の一つに、この地で生まれた「海爾」(ハイアール)がある。筆者は現地でハイアール世界家電博物館を訪れたのだが、その展示内容が強く印象に残った。そこでは家電の歴史を過去から現在にかけて紹介していくパートがあり、各年代の主要な家電と生活スタイルが展示されていた。 

特徴的だったのは、1950年代、60年代、70年代は欧米、80年代は日本、そして90年代から現代にかけては中国の一般家庭の暮らしが家電と共に紹介されている展示構成である。かつて日本の白物家電が欧米製の品々を圧倒し、やがて中国の経済発展に伴ってメード・イン・チャイナが家電の主流となり、さらに今日に至ってはIT技術を応用したスマート家電で中国がさらに世界をリードしている。それはまさに改革開放以降の中国における産業および技術発展、生活レベルの向上、そして何より世界に占めるメード・イン・チャイナの実力と存在感を視覚化したものであった。 

このハイアール世界家電博物館だけでなく青島ビール博物館、さらには郊外の小さな工場を訪れたときにも、それぞれの場所の責任者の方は海外進出、世界的な事業展開をしっかりと見据え、対外開放の重要性や国家戦略との連携の重要性を語っていた。それゆえに筆者は、青島の特徴、そして魅力として「開放」という点を挙げたいのである。今年は「一帯一路」共同建設イニシアチブ10周年に当たる。これを契機として、青島市、そして中国はよりいっそう海外へと門戸を開いていき、この地の開放の気風はますます高まってゆくことだろう。 

むろん青島を訪れて何を感じるかはその方次第。観光ならば古い歴史を持つ「老街」をリノベーションした銀魚巷、「農業+観光」モデルで多くの旅行客を集めている里岔鎮の桃李春風田園総合体など他にもおすすめのスポットは数多い。ぜひ皆さんにもこの美しい港湾都市を訪れて、ご自身で青島のさらなる魅力を発見していただきたい。 

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