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中国の小学校に行ってきた!

2023-09-28 11:48:00 【关闭】 【打印】

植野友和=文

大人になって小学校に行く機会というのは、子を持つ親なら授業参観などであるだろうが、自分のような独身の者にとっては、まず縁のないものである。いわんや、海外の小学校をや。ところがひょんなことから、中国のとある地で学校を見学し、児童たちと触れ合うチャンスに恵まれた。 

訪れたのは浙江省竜港市、と聞いてすぐ場所が思いつく方は、かなりの中国通だ。ここは人口40万人ほどの比較的小さな町だが、「中国印刷城」と称されるように印刷業を主産業としており、2019年に鎮から県級市に格上げとなったことでも有名で、浙江省の中でもとりわけ新しく、発展が目覚ましい都市と言える。 

中国の小学生たちは、どんな学校生活を送り、何を学んでいるのか。そんな思いを抱いて筆者が訪ねたのは、市内中心部の竜港市第四小学校である。ここは浙江省初のデジタル化学校、浙江省文明単位、浙江省芸術教育特色校、さらには初の国家級学校サッカー特色校などに指定された地元のモデル校で、スポーツやアート活動がとりわけ盛んなのだという。 

そう聞くと、ここは特別な進学校なのかと思うわけだが、案内してくれた地元の方は、「いえいえ普通の小学校ですよ。私もここの卒業生ですし」と語る。それはその通りらしいのだが、実際には学内で児童たちの授業風景を見学したり、課題作品などを見たりしていると、いずれもキラリと輝くものがあることに気付かされる。これが「普通」だとしたら、中国の小学校はどれほど教育レベルが高いのだろうと、思わず感じてしまったのである。 

具体的には、まず子どもたちが披露してくれた中国の伝統的な踊りの「竜舞」に度肝を抜かれた。雄々しく空を舞う竜、時に整然とし、時にアクロバティックな児童たちの動き。このレベルに達するまでに果たしてどれほどの修練を重ねたのかが一目で分かる、素晴らしいパフォーマンスだ。他にも、集団で行う縄跳び運動や中国の伝統的要素を取り入れたバレエ、合唱などを見学したが、正直言って全てに感動を覚えてしまった。 

言うまでもなくその思いは、「子どもたちがかわいかったから」といった単純な理由ではない。児童たちは先生の指示をよく聞き、みんな真剣そのもので、純粋に、ひたむきに頑張っていた。何事にも言えることだが、一生懸命な姿というものは巧拙に関係なく、人の心を動かす。竜港市第四小学校の児童たちはアートやスポーツなどを通じ、努力や奮闘することの大事さ、そしてその中から生み出される感動の意義をしっかりと学んでいるのである。 

また、筆者は子どもたちの一生懸命さに感心しつつ、同時にこんなこともふと思った。 

「自分が小学生のとき、これほど何か一つのことに打ち込んだことがあっただろうか」 

学校でバレエや合唱を学んだからといって、その児童たちが全員バレリーナや歌手になれるわけではないが、頑張ること、何かに夢中になることの重要さはきっと学べる。それは子どもたちの今後の成長において、プラスに働くに違いない。いや、大人こそ、かつては持っていたはずのそういった心を忘れてはならないはずだ。自分はいい年のおっさんではあるが、竜港市第四小学校の子どもたちの姿から、頑張ることの大切さを改めて気付かされたように思う。 

さて、実を言うと竜港市第四小学校のように特色のある学校は、中国にはごまんとある。例えば、筆者の職場であるアジア太平洋広報センターの近くだけでも、日本語学科を設けている月壇中学、外国語全般、特にスペイン語教育が充実している西城外国語学校など、他とは違うカリキュラムを特徴とし、専門的知識を持つ教師陣をそろえているところが多い。日本にもスポーツの強豪校などは存在するが、中国の場合はより多種多様で、各学校がいかに他との違いを出し、どうすれば今のニーズに合った教育、子どもたちにとってより良い教育を提供できるかを競うように考え、実行しているように感じられる。 

このような取り組みは、公教育の質の向上につながると同時に、子どもたちにより多くの学びの選択肢を提供するものだ。中国では近年、義務教育段階の子どもの過度な宿題の負担と学校以外での学習の負荷を減らし、地域ごとの教育格差をなくすことを狙いとする「双減」政策が打ち出された。それはすなわち、学校外教育に頼らずとも、誰もが等しく優れた教育を受ける機会を得られるようにする施策である。そこで必要となるのは、公立学校の教育をいかに充実させるかということだが、筆者の印象としては十分に成功しているように思える。 

もちろん、自分が今回訪問したのは広大な中国に存在する一つの小学校にすぎない。だが、整った教育環境の中でのびのびと学び、ダンスやサッカー、合唱、書画など、さまざまな分野で才能を発揮する竜港市第四小学校の子どもたちを見ていると、中国の公教育の未来は光明に満ちているとしみじみ感じた。「教育は国家百年の大計」であり、そのアップグレード・モデルチェンジは中国で今この瞬間も続いている。 


浙江省湖州市長興県煤山鎮中心小学校で端午節を祝って無形文化遺産の白峴布竜を披露する児童たち(6月19日、vcg)

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