丹霞の岩壁が語る仏教史 れんがに花咲く彩陶の里
路地裏に香る庶民の味
午後の日差しが灰色れんがの壁を温め、大旮巷の人影は次第にまばらになった。路地の奥、河州茗源蓋碗茶博物館の木戸が半分開いている。扉を押すと、壁面を埋め尽くす数百の蓋碗(ふた付き茶碗)が目に飛び込んできた――牡丹文様の金彩を施した青磁、氷割れ文様(10)の白い陶器の茶碗、寿桃が描かれた朱色の漆器……明・清時代の様式から現代のデザインまで、茶文化の歴史が立体的に展示されている。
臨夏名物の蓋碗茶は「三泡台」とも呼ばれる。天青釉の小皿には同色の茶碗が載せられ、そのふたを開けると、8種類の薬膳がブレンドされた「八宝茶」が現れる。緑茶の葉はリュウガン、ナツメ、干しアンズなどの具材の間を漂い、酸味と甘みが絶妙に調和した芳しい茶香が熱気と共にゆっくりと広がる。古い通りの住人たちは彫刻が施された木の窓に寄りかかり、八宝茶の香りに包まれながら、日差しが八坊十三巷の屋根に斜めに差し込むまで過ごす。
夕暮れが路地を染めると、夜市の湯気が人々の足を引き留める。竹製のせいろを開けると、手のひら大の河州包子(蒸し肉まん)から白い湯気が立ち昇り、薄皮の内側で羊肉の脂がニラの汁と混じり合い、滴り落ちんばかりになる。隣の鉄鍋では炕鍋洋芋(焼きジャガイモの羊スープ煮込み)がジュージュー音を立て、焦げた皮の下に肉汁の旨味が染み込む。油の波間に浮かぶ餜餜(揚げ菓子)は、三つ編みや牡丹の形をしており、かむと蜂の巣状の気孔からゴマの香りが広がる。牛肉ラーメン店では、職人が弧を描いて伸ばした銀糸のような麺が陶器の碗に滑り落ち、それが客の前に運ばれる様子は、れんが彫刻で描かれた茶馬交易市場の商人たちが碗を抱えて麺をすする光景と、時空を超えて重なり合う。
茶の香りとさまざまな食べ物の匂いが路地裏で絡み合い、れんがに刻まれた隊商のラクダの鈴がまるで町のざわめきの中で鳴り響いているかのようだ。八坊十三巷の日常は、このように千年の記憶と民族の風情をありふれた食事に溶け込ませ、現代人の舌と心へ届け続けている。
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