未知との遭遇海を渡る生活革命の起爆剤

2023-05-29 15:11:00

特集8 「等身大の中国」見る時代へ

日本企業(中国)研究院執行院長 陳言

 

近現代において、日本の対中判断は常に誤りに満ちていた。交通が不便だった時代は、「遠い中国」を極力小さくて弱いものとしていたが、北京―東京間が飛行機で3時間足らずの今になっても、その判断に変わりはない。つまり、対中判断の誤りは距離によるものでは決してなく、マスコミが故意に作ったゆがんだ鏡を通すことで、時には中国崩壊論、時には真逆の中国脅威論と、極端なイメージで中国を捉えているのが原因だと私は考えている。しかし最近になって良質な中国製品の市場参入、中国人観光客の増加、中国資本の日本進出が始まり、日本でもようやく「等身大の中国」(10)が見られるようになったようだ。

30年前、筆者は日本へ留学したが、東京中を探し回っても中国ブランドの商品を見つけることはできず、中国製すらほとんど見つからなかった。しかし今は東京のみならず、日本のどこへ行っても「メード·イン·チャイナ」を見つけることができる時代になった。そして今、日本の大学で日本人と机を並べる中国留学生は、すでに10万人を上回っているという。

中国では年間1000万人が大学を受験するが、うち700万人が入学し、残りの300万人は教育機関の不足から多くが大学進学を諦める。10万人の学生が日本に留学することは、その不足を大きく補っている。筆者はかつて日本の大学で10年近く教えていたが、日本語能力はさておき、中国人学生が知的レベルで遅れを取っていると感じることは全くなかった。今後日本が留学生への門戸をさらに開放するならば、中国人留学生の数は毎年安定して10万人レベルを維持し続けるだろうし、「等身大の中国」を日本に正しく伝える存在となるだろう。

そして近年、留学生以上に日本にやって来たのは中国の観光客で、かつてないほど「身近な中国」を日本に伝えた。昨年の総数は735万人を超えていた。つまり1日で2万人の中国人観光客が日本を訪れているということになる。今後日本への入国がさらに緩和されれば、年間で1000万人の訪日も射程内となる。

中国人観光客が伝えた「身近な中国」として真っ先に挙げられるのが、消費金額をすぐチェックし、日本のPASMOなどよりも便利なスマホ決済だ。日本の技術でスマホ決済機能を開発すること自体は決して難しくなかろうが、導入と普及の気配はなぜか見られない。よって今は、中国人の知恵と行動力を間近に見ることができる、初めての時代と言えるのではないだろうか。

かつて日本は、中国の思想の儒学を朝鮮半島経由で受け入れたが、今後の日本が、中国発のスマホ決済、シェアリングエコノミー、国境を越えたeコマースのビジネスモデル、コミュニケーションチャネルを受け入れるかは、非常に興味深い。少々前に、日本で研究開発機構を立ち上げた中国企業の給与条件が日本で話題になり、中国企業が日本人の優れた人材を渇望していることを初めて知った日本人も少なくなかった。こんな「等身大の中国」を知ろうとするか、それともあえて「偏った中国」しか見ないかは、日本人次第だ。

日本のメディアは今後も独自のやり方で中国を伝えていくだろう。しかし、中国の留学生や観光客、ビジネスモデルは、メディアが伝えない「等身大の中国」を日本に伝えていく。これがある程度日本に定着すれば、中日交流にも落ち着いた関係が作られていくと思う。それが見られる日も、そう遠くはないだろう。

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